2003年9月のこびん

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<第0026号 2003年9月28日(日) 本日のこびん>

      かまきり

かまがあったらいいな
だれかがつぶやく
どんなにぶかっこうでも
あの大きなかまと
いつも何かを狙っている
ひたすらな気持ちがあればな


   * 挿一輪 *
 子どもの頃はかまきりが怖かったものです。あのかまの不釣合いな大きさ、いざとなったら飛ぶ!という意外性。でもあのかま、はさまれても思ったほど痛くないんです。一見可愛い振りして、実はとんでもないほど痛い、カミキリムシに比べれば(ホント、涙が出るほど)、とても優しい?生き物です。
 でも、何か獲物を狙ってじっとしている時や、目線を同じにしてじっと見つめてみると、迫力があります。生きるために当たり前と言えばそうなのですが、そのひたむきさ、感動します。かまきりを好きになる瞬間です。
 小さな生き物に学ぶことは意外にあります。その習性に興味を持つのは別にしても、生きることへの執念、その時の一途さ、人間だって生き物なんですけれどね。
 あなたは身近の小さな生き物たちを見て、何か考えさせられたことありますか?


<第0025号 2003年9月25日(木) 本日のこびん>

      命令

生きている限り
従わなければならない
いのちの命令
生きろ


   * 挿一輪 *
 よくころんで怪我をします。不注意といえばそれまでなのですが、不器用というか、反射神経がにぶいというのか、そのくせ、せっかちなので、走るように歩きます。おまけに目が悪いので、夜になると極端に見えなくなります。でも速度はゆるめません。結果、小さな突起にもつまずき、ころんですぐにすりむきます。
 すりむいて、血が出て、リンパ液が出て(ごめんなさいね)、でもこういう時、体は必死に生命を守ろうと反応しているのです。馬鹿だの、気をつけろだの、愚痴一つ言わずに守るために全力を尽くします。
 よく「いのちの大切さ」について語られます。でもそんなに振りかぶらなくても、自分の体の小さな反応一つ観察してみるだけで、いのちのすごさが分かります。いのちの命令はただ一つだけ、「生きろ」です。あなたは、言葉にならないその命令、聞こえますか?


<第0024号 2003年9月21日(日) 本日のこびん>

      今の中で

あなたは
先だけを生きることはできない
あなたができることは
たった今
この今を生きること
今を生きることで
あなたは先を拓いてゆける

あなたを先に導くのは
今のあなただけなのだから


   * 挿一輪 *
 明日をつくるのは今です。占いで明日の運命が決まっているように思えてしまいますが、皮肉なことに占いを聞いたとたん、また別の明日が拓きます。考えてみると、生きているのは今の連続の中なので、明日は臨むだけなのですが、今の生きかた次第で、この先どうにでも変化して行きます。それは交差点で道をどちらにするか選ぶより、目の前に広がる野原に、どう進路を決めてもかまわないと言うことです。そう、穴を掘って地下に行っても、気球に乗って空に昇っても、座り込んで新しい世界に浸っても自由です。
 今どういう考えを持っているか、どういう行動を起こすのか、「今」の主人はあなたです。あなたの今、しっかりつかんでいますか?


<第0023号 2003年9月18日(木) 本日のこびん>

      託されたもの

自分を生きる
託されたものを生きる
伝えるために
生きる


   * 挿一輪 *
 大接近から少し離れても火星は相変わらず夜空に輝いています。仕事帰りに夜道を10分ほど歩きましたが、月の出が遅くなった分、火星が引き立っているような感じです。
 急に、託されたもの、と出たのでどうしたのかと思われましたか?星を見ていると、その人が持って生まれた星回りなど、思いを巡らせます。ある日ふと思ったのですが(実際は長い間考え続けていたような気がします)、人が生まれてくるのは、何かを託されたからではないかと思うのです。生まれる前から何かを託されて、それを誰かに伝えるために、生まれ、そして生きてゆく。それはいったい何なのか?思い出す人もいれば、知らずに何気なく伝える人もいる。でも、本来、種の保存の観点からゆくと、伝えることはいちばん大切なことかもしれません。
 で、あなたの託されたものは?それが分かればまっすぐ行けるのですが、例え分からなくても、そのことをどこかで意識していると、視点が変わってくるかもしれません。
 生まれたときに託されたもの、一生かけて伝えるもの、あなたも一人の伝道師かもしれません。託されたもの、捜してみませんか?


<第0022号 2003年9月14日(日) 本日のこびん>

      リズム

リズム
わからなくなったら
あのリズムを
もう一度
思い出して


   * 挿一輪 *
 バイオリズムを測る機械が話題になったことがありました。潮の満ち引きのように、誰もが独自のリズムを持っているようです。
 ところが、何かのきっかけでそのリズムが狂います。体調もあるだろうし、精神的な負担もあると思います。最初は何となく変だなという感じですが、そのうち自分を失いかけることまでもあります。そこまで行くと元のリズムを取り戻すには一苦労します。忘れてしまうんですね、普段のリズムを。なぜって、いつもうまく行っている時は気にしていないから。ほらコンピューターの突然の故障と同じです。バックアップは?人間も取れるといいですね、あの調子のいい時に復元して、なんて。
 何か復元ポイントを日ごろから意識しているといいですね。仕事を休んで大好きなことをするとか、別の自分になったつもりで外から見てみるとか。あなたのリズム、ベストに戻すのに、復元ツールはなんですか?


<第0021号 2003年9月11日(木) 本日のこびん>

      あてくじ

夜のマンションは
巨大なあてくじ
めくったところの灯が消えて
残りは少ない
早くしないとなくなるよ


   * 挿一輪 *
 子どものころ駄菓子屋でよくあてくじをしました。箱型で上から指で押して開けるやつ。もともとくじ運の悪い私は、はずれが多かったのですが、ある日幸運にも、残りわずかのあてくじをしたことがありました。そう、珍しく残りのすべてが当たりだったのです。あてくじの開けてない部分が光り輝くようで、一つ一つ破る指先が踊るようでした。
 夜遅くマンションの前を通りかかると、明るい窓はもう残りわずかです。それがあてくじの残りのように見えて、思わず指を指したくなります。殺風景な都市の一角でも、遊ぼうと思えばみんな遊具になるもんですね。人通りの少ないときに、怪しまれないように、すばやく、ね、あなたも密かな遊び、もっていますか?


<第0020号 2003年9月7日(日) 本日のこびん>

      黒猫

まっすぐこちらを見ている
黒猫の目
わらいもうらみもなく
わたしの体をつきぬけて
背後の奥深い何かを見ている


   * 挿一輪 *
 小さな個展の案内に、黒猫の横たわった絵が描いてありました。その目が黄金色に輝いてまっすぐこちらを見ています。
 そういえば、以前地下鉄の出口で会った、ごみのポリ袋の山をバックにした黒猫。朝の通勤途中、路地の真ん中に座っていた黒猫。どちらも、その黄金色の目は、みごとにまっすぐこちらを見ていました。猫にとってはただじっと見ていただけでしょうが、わたしを突き抜けて、その視線は背後の何かに語りかけているようでした。
 というわけで、背筋が寒くなる前に、黒猫にはこちらから声無き声を先にかけるようにしています。別に後ろめたいこともしていませんし、色が黒いだけで猫も迷惑でしょうが。
 あなたが黒猫に出会ったらどうしますか?


<第0019号 2003年9月4日(木) 本日のこびん>

      9月

9月はゆっくりと動く
背中にびっしょりと汗をかき
足元に冷たい影を宿し


   * 挿一輪 *
 9月になりました。急に暑さが戻ってきても、もう真夏の暑さとは違います。少し木陰に入ってみれば、涼しさを感じます。こおろぎたちも鳴いています。そういえば、毎年今頃になると、ベランダでかねたたきが鳴き始めます。不思議と夏の終わりに鳴き始めて、かぼそげな澄んだ声を聞かしてくれます。秋になるんだなと実感します。
 稲の穂もようやく目立ってきました。9月は何故かあまり印象に残らない月ですが、細かなところに目をやると、いたるところで秋の萌芽を垣間見ることができます。そのサインは人によって違います。わたしにとっては、かねたたきの声がその一つかもしれません。
 あなたにとっての、秋の入り口のサインは何ですか?



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