<第0044号 2003年11月30日(日) 本日のこびん> 朝陽 約束をしてほしい じっと見つめているとか 手を合わせて願いをこめるとか そんな小さなことではない あなたが太陽になって 地平線からゆっくりと昇り だれかの夢を芽生えさせることを * 挿一輪 * 朝陽の出が遅くなりました。早朝に起きなくても朝陽を見ることができます(と言っても、朝寝坊していると無理ですが)。朝陽の昇るところは神秘的です。たとえそれが広大な地平線でなくても、ビルの谷間や、隣の家のベランダの隅からでも同じです。 じっと見ているのもいいですが、何か願い事でもすればかないそうな気がします。別に毎日が初日の出ではないのですが、やはり昇る朝陽のエネルギーはとてつもなく大きなものです。 できることならそのエネルギーをそのまま取り入れて、小さな太陽になってみたい。光を受け取る側から光を与える側になってみたい。日常の中で、みんなあまりに受け取るものに神経質になり、自分が与える側にもなれることを忘れてしまっています。 もっとも与える側になるには、自分のエネルギーを相当量、放出しなければなりません。でも心配ありません。生命は小さな宇宙をその中に包んでいます。その宇宙の中で、それぞれの太陽は昇り、その太陽を受けて、何か芽生えるものがあります。 あなたも自分の持っている太陽を、ゆっくりと空に向けて持ち上げてみませんか。 <第0043号 2003年11月27日(木) 本日のこびん> つくる 生きるということが 何かをつくるためというのなら 生きるということが 何かを受け取るためというのなら さあ 生きてゆこう * 挿一輪 * 生きるということは何かをつくりだすことです。 それは形ある物とは限りません。出会ったときになにげなくかわすひとこと。絵を見たり、音楽を聴いたりして、何かを表現したいと感じるこころ。笑顔や泣き顔、叫びでもかまいません。あなたが触れたことによってつくりだし伝わるもの、それが生きている証だと思います。 そして、あなたのつくりだしたものに対して、他の生きている人が、何かをつくろうと感じ、つくりだしてゆく。あなたの一つの小さな行動が、驚くほどの「つくる」連鎖反応を生むことにもなります。 風船に手紙をつけて飛ばしたものが、ある日返事になって返ってくる。びんに手紙を入れて流したものが、ある日返事になって返ってくる。反応は巡り巡って、今度はあなたに戻ってきます。あなたが受け取る番です。受け取り、またつくるためには、あなたは生きていなければいけません。生きていれば何かを必ずつくりだせます。 さあ、こんどはあなたの番です。つくりだした小さな言葉をそっと隣の人に流してみませんか。 <第0042号 2003年11月23日(日) 本日のこびん> さくらの葉 秋のさくらが散っている 赤い葉を 花びらのように落としている * 挿一輪 * さくらは二度散ります。春の花と秋の紅葉と。春の花が、冷たい冬から春先への夢の中の記憶なら、秋の葉は、暑い夏の太陽の光の記憶です。 人間にも春の花と秋の紅葉があります。これから暖かくなる風と、冷たく凍ってゆく風、花を散らし新しい葉を出す力と、葉を散らし新しい芽を育む力。さくらと同じように、どちらも必要なものに違いありません。その繰り返しで年輪を重ね生きてゆきます。 葉を散らして枝だけになったさくらは、春まで忘れ去られます。でも忘れ去られてもさくらは決して自分を忘れません。どんなときでも、自分のいのちを保ち続け生き続けてゆきます。 わたしもそうです。あなたもそうです。例えいっときだれからも忘れられても、自分自身は忘れてはいけません。常に自分を大事に育てていきます。それが生きていることです。花を咲かすことは大切なことです。でもそれ以上に、咲かすために散らせるために、生き続けることがもっと大切なことです。あなたはいま生き続けています。散らすために、そして、咲かすために。 <第0041号 2003年11月20日(木) 本日のこびん> 日常 にちじょうはおおきい 空よりも大きい にちじょうはつよい 水よりも強い にちじょうはふかい 海よりも深い にちじょうはでも 人間だけがたより * 挿一輪 * 「日常を制するものは自らを制す」とか。 朝起きてから(いえ、起きる前の眠りの中から、すでに日常は始まっているのかもしれません)夜、眠りにつくまでの一日の行動。日常は何気なく、同じように過ぎてゆきます。変化に乏しいと感じればそのままに、気がつかないまま時間が過ぎてゆきます。 確かにそれぞれ、節目節目のイベントがあることでしょう。入学や卒業、就職や結婚など。でも、それはいつの間にか、大きな日常の流れの中に、のみこまれてゆきます。 毎日毎日、充実している人もいるでしょう。でも、例えば何か変わった出来事に対する反応も、最初は大きくても次第に慣れてしまいます。旅行にしたって、新鮮さを感じている間はいいのですが、何度も重なると、もう毎日のルーティンにのみこまれてしまいます。 日常に流されていると、大変そうで、実は楽です。常識が通用するからです。本当に大変なのは、日常を脱することです。日常から脱しようとすると、より大きなエネルギーと注意力を持続しなくてはなりません。でも気をつけないと、別の日常のドアを開けただけのことになります。 それでも、ドアを次々と開け続けて、挑戦の価値はあります。それは自分自身の時間だからです。あなたも日常を意識して、その中から新しい挑戦を始めてみませんか? <第0040号 2003年11月16日(日) 本日のこびん> 野菊 冷たい朝の 一筋の光のなかに 黄色い野菊が スポットライトを浴びたように咲いている * 挿一輪 * 少しずつ日の出が遅くなってきました。朝、玄関のドアを出ると、日の出に出会うようになりました。 朝陽は細い隙間まで入り込み、路地の奥まで射し込みます。今まで気がつかなかった片隅の小さな野菊が、一瞬舞台の上のスポットライトの中のように輝きます。でも朝陽が昇ってゆくにつれて、すぐにスポットライトは移ってゆきます。 人間の一生が短いのならば、その一日一日はあっという間に過ぎてゆきます。あなたの照らされるライトも同じところには決してとどまらず、その日の出来事もすぐに通り過ぎてしまいます。 でも時々、朝の野菊のようにその鮮やかな色彩が、何かの拍子に思い出されることがあります。理由を聞かれても答えられないかもしれません。でも確かに黄色に輝く野菊を見た。時にはその一瞬の記憶のために、支えられて生きてゆくことさえあります。 朝のひと時、あなたは短いスポットライトのなかで、いったい何を記憶に刻み込みますか? <第0039号 2003年11月13日(木) 本日のこびん> ほんとうに ほんとうに楽しいこと ほんとうに生き生きとしていられること ほんとに自分らしいこと ほんとうにわかっていますか わかっていながら 自分を裏切っていませんか * 挿一輪 * ふと感じることがあります。ほんとうに自分を生きているのだろうか。いやいやながら仕事をやっていないだろうか。ほんとうは好きなことがあるのに、それをやっていればとても楽しいのに。 そう思ったら、あなたはすでに自分らしい生き方を見つけています。だって自分が嫌なことと、好きなことと、はっきりとしているのだから。 そこまできたのに、迷っている。理由をつけてためらって、あきらめさせている。だれが?あなた自身が。自分で自分を裏切ってどうするんです。だってあなたを信用してくれるのは、あなたが一番じゃないですか?どんな時にでも、あなたの一番そばにいてくれるのは、あなた自身じゃないですか? 「ほんとうに」あなたを生きてみませんか?あなたというオリジナルで。 <第0038号 2003年11月9日(日) 本日のこびん> 朝陽 朝陽の昇る川には 光の粒が眠っている * 挿一輪 * 朝陽の光の偉大さは、輝くものが待っていることです。たとえどよんと眠っていても、朝陽の一筋の呼びかけに、輝きが瞬時に応答します。朝の川面が答えます。汚れた川でも、まるで光の粒をまぶしたみたいにきらめきます。光の当たる前と後では、同じ川なのにその表情は一変します。 たぶん、起き抜けのあなたの顔に当たった朝陽も、あなたの中の輝くものを見つけ出して、その表情を魅力的にするはずです。それはあなた自身には気がつかない、隠れた才能のようなものです。きっとあなたのすぐ横にいる人のほうが、すぐにその変化に気がつくに違いありません。 え、誰もいないって?大丈夫、必ずじっと見ている人がいます。その人が案外あなたの朝陽だったりして。自信を持ってください、あなたの中には必ず朝陽を受けて輝くものが潜んでいますから。 <第0037号 2003年11月6日(木) 本日のこびん> 空色の糸 11月の風はこっそりと告げ口をする でも気がついたときには クモは破れた糸を残し 大きなメスのおなかの中の ぎっしり詰まった卵になっている * 挿一輪 * 空色の糸があります。空と同じ色だから保護色になって見えません。でも風が吹くと揺れるのです。空色の糸は空色のクモが作ったに違いありません。 クモも保護色だから見えません。でも糸に触れた11月の風がみんなに話してしまいます。クモはあわてて逃げ出し、ちょうど相手を探していたメスに捕まり、子孫のために食べられてしまいました。そのうち、卵が孵化して、透明なクモの子が空いっぱいに飛び散るのです。 そんなことを思って、秋の空を眺めているのもいいものです。でも雨の日は?って。雨って、クモの糸みたいではないですか。雨の中で、少し斜めに空を見上げてみるとわかります。あなたもやってみませんか?濡れたくない?透明な傘がお勧めのアイテムです。 <第0036号 2003年11月2日(日) 本日のこびん> 朝 おまえは夢の続きを見れない すみずみまで知り尽くしたなわばりも お気に入りの陽だまりも おまえの影に会うこともない 差し込む細い日差しが 手入れの行き届いた背中の毛を またたくまに梳いてゆく * 挿一輪 * 早朝、道路に猫の死体がありました。飼い猫か野良猫か、きれいな毛の猫でした。建物の影になっていたその場所に、太陽が昇るにつれ細い一筋の光が差し込んできました。道路の端の方だったので、車も少し避けてゆく程度で、猫はまるで道端に眠っているようでした。 これは以前の11月のある日、出勤途中で出会った光景です。でも妙に忘れられない出来事でした。光と影の具合がまるでレンブラントの絵のようで、というと笑われるかもしれませんが、何か宗教画を見ているようでした。不思議ですね。11月の朝の光のいたずらでしょうか?心の奥の方にまでも差し込んできたのかもしれませんね、細い一筋の何かが。 あなたにもそんな経験ありませんか? |
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