2005年4月のこびん

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<第0191号 2005年4月28日(木)>

       あゆみ

         いっぽでも
         あるいてゆけば
         あたらしいふうけいに
         であえる
         
         あるいてゆかなければ
         いつまでも
         おなじけしきだけ
         
         まず
         いっぽを
         ふみだしてみて


   * 挿一輪 *

 想像することは簡単にできます。
 からだを動かさなくてもどこへでも飛んでゆけます。危なくなってもすぐ
に戻れます。パターンを考えて、対処の仕方も一通り用意できます。

 でも、欠点があります。今までの自分の経験のなかからしか、思いが及ば
ないことです。夜見る夢と同じです。夢は、昼間見てきたことを、脳が整理
している過程だといいます。体験しないこと、見たことのないことは、夢で
は見ることがないといいます。

 新しい体験をするには、どうしたらいいのでしょうか。
 頭のなかではできません。からだを動かして、実際に行動するしかありま
せん。ずっと考えこんでいるより、一歩でも歩いたほうが、道が見えてきま
す。

 なぜでしょうか。
 一歩でも動くことで、視点が変わってくるからです。視点が変われば、見
える範囲も変わってきます。交差点にかかるとき、止まった位置では、左右
が見えないのに、少し首を伸ばして見るだけで、視界が開けてくるのと同じ
です。

 その一歩、たとえ半歩でも、位置を前にずらしただけで、新しい世界が見
えてきます。考えている間に何歩進めますか。

 でも、もし、そこで何かが起こったら?
 そうです。必ず何かが起こります。あなたが動くことで、風が起きるよう
に、眠っていたたくさんのものが動き出します。

 不安ですか。どうしたらいいか分かりませんか。
 たぶん、あなたが、今まで想像もしなかったことが起こります。新しい体
験が始まります。未知は、たしかに不安です。でも、不安と共に、新しい可
能性をプレゼントしてくれます。

 あなたが一歩踏み出すことで、起こることは一つです。不安と展開という
二面をもった一つのとびらが開きます。あなたはどちらの面に親しみをもち
ますか。それとも、頭を抱えて、目をつぶり、また元に戻りますか。

 踏み出してください、その一歩を。
 必ず得るものがあるはずです。得られなくても、踏み出した一歩は、次の
一歩を導き出します。本当はこのことが、いちばん大切なことなのかもしれ
ません。

 一歩が当たり前になる。
 一歩が自然に出るようになる。
 
 次々と風景が変わってゆきます。恐れは最初の一歩だけです。習慣がつけ
ば、もう大丈夫です。振り返ったときに、今までの、一歩の大きさがきっと
実感されますから。


<第0190号 2005年4月24日(日)>

       きぼう

         みつけたら
         まっすぐに
         おいかけて
         
         つかんだら
         よそみせず
         はなさずに
         
         わかったよと
         ほほえむまで


   * 挿一輪 *

 希望。
 おなかの足しにはならないけれど、あれば、空腹もがまんできるもの。
 たとえおなかがいっぱいでも、ないと、うつむいてしまうもの。

 希望のある人とない人の差は、あと少し、というところで、出てきます。
 もういいや、疲れたからやめてしまえ。
 もう少し、疲れたけれど、もう少しだけ。

 一日でできることは、そう変わりはありません。
 ほんのわずか、余計にできるだけ。
 その差はわずかです、その日に限ってみれば。

 でも、そのわずかな差も、積み重ねれば大きいものになります。一週間、
一ヶ月、一年ともなれば、追いつくことができないほどの大きな差になりま
す。

 でも、一見、変化のない日常のなかで、積み重ねてゆくには、強い意志が
ないとできそうもありません。日記にしたって三日坊主。何を始めても、す
ぐに飽きる。どうしたら続けてゆけるのでしょうか。

 希望を待ってゆくことです。楽しみとか、目標とか、他のことばに置き換
えてもいいですね。到達したときの自分の姿が、とてもステキに見えること
をイメージしてみてください。

 希望は、どんな小さなことでもかまいません。小さすぎて、だれかに聞か
れたら笑われる。そんな心配をすることもありません。希望は、あなたのも
のです。他のだれかのものではありません。

 見つけるのが大変だとか、見つかってもかなえられない、と思っている人
は、初めから大きな希望を見すぎています。手をのばしても、はるか高いと
ころにあるものは、取れないとあきらめてしまいます。

 どんなに小さなことでもかまいません、と言いましたね。手をのばして、
もう少しで、届くのにな、その高さならば、どうにかなりそう、やってみよ
う、そう思えてきませんか。

 そして、もう少し、もう少し、で、一段、一段、階段を作ってゆけば、少
しずつ昇ってゆけます。いつのまにか、想像もできなかったくらいの、高い
位置にまで、手が届くかもしれません。

 ほら、ずっと見つづけてきた希望が、となりに並んでほほえんでいます。
そのとき、あなたが、どれだけのことをしてきたか、振り返って見てくださ
い。その大きさに、驚くかもしれません。

 辛くてくじけそうになったとき、何をしていいかわからなくなったとき、
小さな希望をみつけてください。それだけで、あなたは顔を上げ、前を向い
て、歩きはじめます。

 その小さなきっかけを、あなたの掌からみつけだせたらいいですね。


<第0189号 2005年4月21日(木)>

       わたしは まだ

         わたしは まだ
         さききったことがなかった
         わたしは まだ
         ちったこともなかった
         
         うまれてきた
         いのちとして


   * 挿一輪 *

 花は咲ききると散ります。満足したように散ります。もう少し咲いていた
ら、などとは思いません。

 時々、その花の枝に養分が行かなかったのか、開きもせず、つぼみのまま
で落ちるものがあります。咲くことがなかった花。散ることができなかった
花です。

 長いのか、短いのか、いままで生きてきた時間を振り返ってみます。
 自分がもし花ならば、咲ききったことがあるのだろうか。
 咲ききったことがないのならば、散ったこともないのだろうか。
 つぼみのままで、ぽとりと枝から落ちてしまったのではないのだろうか。

 何か目標をもって、達成する。イコール、咲ききること。
 たしかにひとつの形です。
 自分にあてはめてみて、みつかりますか。いくつありますか。

 考えてみれば、咲ききったことがなかった、いえ、その前に、つぼみをど
うやって開いていいのかわからなかった。思いつくものを並べてみると、哀
しいほど、落ち込みます。

 いろいろなことに手を出して、いつも中途半端で放り投げてしまう、その
繰り返しが、投げやりな自分を作ってゆきます。どうしてなのか、理由もわ
からないまま。

 あるとき、どんな自分なら、すなおに花を咲かせるのかと考えました。
 ふと、気がついたのです、花を咲かせることができるから、そう、思うの
だと。可能性があるからこそ、その道を探すのだと。

 生まれて、生きているかぎり、成熟すれば、花芽はつき、花は咲く。
 それが自然の摂理です。日常の繰り返しのなかで、つまらない毎日、変化
のない毎日と、ただ、無為にすごしていても成熟しません。小さなことで
も、自分のリズムのなかで、少しずつ積み重ねてゆけば、養分になり、大き
な花芽をつけてゆくはずです。

 近道って、ないのかもしれません。どこかにないかなと、探す気持ちはい
つもあるけれど、咲くまでの過程が大切ではないのかと思うと、近道の必要
がなくなります。競争ではないですよね。だれともタイムを競う必要がない
ですよね。

 自分が大きく咲ききること、そして、自然に散ってゆくこと。
 そのために、毎日を生きてゆけるのならば、いつか、だれも見たことのな
い、自分だけの花を咲かすことができます。

 いのちとして、生きているうちに、きっと。


<第0188号 2005年4月17日(日)>

       ゆめをかなえるには

         かんがえながらうごく
         なんでもたいせつにあつかう
         いいものはいい
         すきなものはすき
         のびのびと
         けれど
         いっぽいっぽ
         けっしてふらつかない


   * 挿一輪 *

 ゆめをかなえるにはどうしたらいいですか。
 ゆめの大きさには関係ありません。だいたい、ゆめの大きさなんて、比べ
られるものではありません。

 例えば。
 大好きなあの人と二人っきりで話すことができたらいいな、というゆめ。
 夜空に新星を見つけて、自分の名前を付けられたらいいな、というゆめ。
 自分だけのお店を持ちたいな、というゆめ。
 世界中の街を自転車で回って知らない人と話をしたいな、というゆめ。
 ね、大きさは比べられません。

 周りからみれば、すぐにできるじゃないか、とか、そんなことできるわけ
ないじゃないか、とか、思われたとしても、ゆめをもつ本人にしてみれば、
その時の最高のゆめに違いないのですから。

 どんなゆめでも、かなう、かなわないは、ゆめに向かっての毎日の積み重
ねが大切です。かなえるためにはどうしたらいいのか、方法を考えることは
必要です。

 考えたら、試してみます。考えて、行動してみないと、次の考えが出てこ
ないからです。考えと行動、その繰り返しのなかで、少しずつ前に進んでゆ
きます。

 何でも大切にあつかうことも重要です。
 
 ゆめをかなえることに必要がないからといって、その他のことをいいかげ
んにすると、思わぬことで足を引っ張られます。わずかな不注意で、余計な
ことにエネルギーをとられるのはもったいないと思いませんか。いっそ、い
ろいろなことが、協力してくれたならいいですね。

 関係ないことでも、ていねいに扱うことで、思わぬところから、逆に応援
やヒントをもらうこともあります。また、大切にあつかうくせをつけておく
ことは、損には決してなりません。

 あなたの思いは、しっかりともってください。
 
 だれが何といおうと、あなた自身がいいと思ったものはいい。
 だれが何といおうと、あなた自身が好きだと思ったものは好き。
 
 他人と判断や好みが違っても、それが当たり前、あなたの個性、オリジナ
ルだと誇りに思ってください。

 そして、のびのびと、ゆめにむかって、方向性を見失わないで、まっすぐ
に進むことです。

 いっぺんにかなうゆめは、あまりありません。ゆめをかなえる過程を楽し
むように、毎日積み重ねていってください。最初、遠くて手が届きそうもな
いゆめが、気がつくと、寄り添うように横に座っていた、そんなことになる
かもしれません。

 ゆめをかなえるのはあなたです。あなたの生き方がすべてを左右します。
 安易な近道はありません。唯一の近道は、あなたがゆめに少しずつ近づい
てゆくことだけです。

 ゆめの距離を少しずつ縮めていって、いつかゆめと一緒になれたらいいで
すね。


<第0187号 2005年4月14日(木)>

       どうして

         どうして
         そのことをきくの
         
         まいにち
         まいにち
         かぞえきれない
         できごとがおこっているのに
         
         どうして
         そのことだけをきくの


   * 挿一輪 *

 疑問、質問。問いかけることがあります。
 どうして好きなの。どうして行きたいの。

 あなたは、突然質問したことはありませんか。
 意識しない、いつもの行動なのに、ふいをつかれたように、どうして、と。

 幼い子どもは、ある時期、何でも質問をします。
 これは、なに?それは、なに?あれは、なに?

 自分が問いかけて、大人が答えてくれるのが、コミュニケーションの始ま
りになっているのでしょうか。興味のあるもの、手当たり次第に聞いてゆき
ます。答える大人は、最初のうちはていねいに、可愛いな、などと思って答
えていますが、そのうちに、その繰り返しと、粘りに、ついにはギブアップ
してしまいます。

 聞いて、その答えが返ってくる。幼い子どもは、聞くと、答えてくれる、
そのやり取りが楽しくて仕方がないのでしょう。

 大人でも興味のあることについて、これなに、と、聞いてみたくなります
ね。たとえば、あなたが、何かについて、質問をしたとします。目の前にあ
るものについてでも、起こっていることにでも、ふと、どうして?と質問を
したとします。

 なぜ、そのことだけについて、特別質問をしたのでしょう。

 毎日、日常のなかで起こるできごとは、数え切れないほどです。でも、そ
のなかで、あなたが見ていること、聞いていることは、ほんのわずかなこと
です。

 あなたが興味を持っていること、それだけに、目も耳も反応します。
何かを、じっと考えこんでいれば、目の前で、車がぶつかろうが、とてもス
テキな人とすれ違おうが、気がつきもしません。

 けれど、たとえば、あなたが、犬のことが大好きだとしたら、目の前を散
歩の犬が通り過ぎたなら、大事な考え事も中断しても、犬のことをじっと見
るかもしれません。質問をするということも、同じ意味が隠されています。

 質問したそのものに、あなたはとても興味があります。もしかしたら、の
めりこむほど好きなのかもしれません。自分で気がつかないうちに、あなた
は、ことばや、角度を変えながら、同じことについて質問していませんか。

 どうしていいかわからない。
 何を始めていいかわからない。
 自分に何が合っているのかわからない。

 あなたが、もし、進む道をさがしあぐねて、迷っているのならば、一度、
質問を試してみてください。

 何でもいいですから、ふと、頭に浮かんだ質問を、口に出してください。
 書きとめてみてください。
 口に出したら、帰って来る答えに気をつけて、書きとめたなら、その質問
をもう一度読み直してみてください。

 あなたの質問が、あなたの、いまのいちばん興味のあることを表していま
す。それは、ふだん、自分でも気がつかない本音かもしれません。

 あなたが、そのことを、質問した。その質問から、新しい道が開けます。
 どうか、そのひとことを、見逃さないでください。
 そして、あなたの進む道に役立ててみてください。

 質問ができたなら、道はもう開けているのですから。


<第0186号 2005年4月10日(日)>

       あたらしいノート

         あたらしいページは
         かがみのような
         みずうみ
         
         たったひとこと
         おもいをかく
         こいしをおとしたように
         はもんがひろがる
         
         ゆっくりと
         ゆっくりと
         すみずみまで


   * 挿一輪 *

 ノートを買ってきました。初めのページをあけます。線がひいてあるだけ
で、まっさらです。最初のひとことを書きます。

 たとえば、空。
 
 青空を思いながら書いてもいいです。
 いまにも雨粒の落ちてきそうな曇り空でもかまいません。
 もしかしたら満天の星空かもしれません。

 空ということばを書いただけで、まっさらなページに波紋が生まれます。
 あなたが、鏡のように静まり返っている湖面に、小石を投げたときのこと
を思ってみてください。

 空ということばは、ゆっくりと波紋を広げながら進んでゆきます。まっさ
らなノートは、空ということばが書かれただけなのに、あなたの思い描いた
空が満ちてゆきます。

 気がつくと、湖面いっぱいに波紋が広がっているように、あなたのノート
のページには、空のイメージがいっぱいに広がっています。

 ことばのすごさはこれだけではありません。
 波紋は岸にたどりつくと、そこで消えてしまうのではありません。今度は
ゆっくりと戻ってきます。決して行ったきりではありません。

 行った波紋と戻った波紋、干渉しあって、より複雑な波紋の形ができてゆ
きます。それは、毎日、あなたが、どこかでだれかと、ふれあいをもつこと
と同じです。

 ノートに書かれた、たったひとつのことばが持っている力も同じです。
 いちばん大切なことは、ことばをひとつ、あなたが書いたことです。

 まっさらなノートをいつまでも見ていただけでは、何もおこりません。
 時々、買ったまま忘れてしまったノートがみつかりませんか。まっさらな
ページのままで止まってしまった時間。何も変わっていませんね。

 鏡のような湖面を、じっと見ていても同じことです。
 波紋を起こすのには、どんな小さな石でも投げなければできません。小さ
なきっかけが、湖いっぱいに広がる波紋を生み出します。

 最初のひとことを書いてください。どんなことばでもかまいません。

 何もない、何もみつからない?

 そう答える前に、何でもいいですから、思いついたひとことを書いてくだ
さい。すべてがそこから、新しい波紋がはじまります。

 え、どうしてもない?書いても波紋がおこらない?

 では、ひとつだけヒントをさしあげます。だれかの名前を書いてみてくだ
さい。だれでもかまいません。名前、これほど深いことばはないはずです。

 書いた名前をじっとみつめてください。
 ね、あなたのなかに、波紋が広がりはじめませんか?

 あなたのまっさらなノート、その名前でいっぱいになりましたか?


<第0185号 2005年4月7日(木)>

       はなは さく

         ちいさなたねをうめる
         こゆびのさきより
         もっとちいさなたねを
         
         どんな めがでて
         どんな はになって
         どんな はながさいて
         
         いきをすうように
         すっとめのまえにうかべたら
         
         ゆめのみちすじのように
         はなはさく


   * 挿一輪 *

 春になると、一面に緑の芽がでてきます。
 あのパサパサで何もなかった地面から、よくこれだけのものが湧き上がっ
てきたなと思うほどです。

 じっと眠っていたんですね。
 冬から。いえ、秋から、そう夏の終わりから。
 数え切れないほどの種が落ち、地中に埋もれ、冷たい冬を経て、春に芽吹
きます。

 パンジーなど、苗や咲きかけた花を売っていますが、春に咲く花の種は、
晩秋から冬にまきます。

 いつも種の袋を開けたときに、こんなに小さな種で大丈夫なのかと思いま
す。小指の先どころではありません。間違ってこぼしたら、みつけるのも大
変なくらい細かな種です。

 でも、水をやり、日に当て、春になって気温が上がってくると、待ってい
たかのように、芽をだしてきます。何もなかった黒い土から、緑の小さな芽
がびっしりと顔をだす、思わず声をかけたくなりますね。

 芽は葉になり、茎が伸びて葉が茂り、花芽がでて花が咲く、いままで見て
きた草花の成長が、芽を見ただけで浮かんできます。

 実際には、これから長い時間をかけて花を咲かせるのですが、一瞬のイメ
ージのなかで、咲いた花を見ることがあります。花が見えると、不思議に、
思い描いたのと同じ花が咲いてきます。
 こころのどこかで、もうすでに花を咲かせることができたのでしょう。

 ゆめをかなえる道筋も、似たようなものがあります。
 ゆめの種をまいて、やっと小さな芽がでてきました。そのときに、でたば
かりの芽をじっと見ながら、咲かすことのできる、ゆめの花を思い浮かべま
す。どんな花がうかびましたか。

 できるだけ、具体的なイメージのほうがいいようです。
 たとえば、色は赤。大輪で、花弁は少し丸みをおびて、8枚。夜明けとと
もに、つぼみが少しずつふくらんで、朝には大きな花になっている、とか。

 花ならば、咲くときのイメージを浮かべるように、ゆめも同じように、か
なえられたときの光景を、まるで目の前に見ているように、イメージしたら
いかがでしょうか。

 もやもやとした霧の中では、どんな花が咲くかわかりません。どんなゆめ
が咲くかわかりません。それも楽しみかもしれませんが、花にしろ、ゆめに
しろ、そのかたちがはっきりと浮かんだなら、あとは一筋の道を迷うことな
く進めるような気がします。

 どんな花が咲くのでしょうか。

 さあ、あなた自身が、いちばん好きな、いちばん手にしたい、くっきりと
したイメージを作ってみてください。

 あとはいつもその姿を、あこがれるように思い浮かべながら、育てていけ
ばいいのですから。


<第0184号 2005年4月3日(日)>

       かたち

         はっきりとしたイメージ
         あなたのかたち
         
         わずかなちからかもしれないけれど
         ひとつひとつ
         
         ながされることなく
         つみかさねる
         あなたの てで


   * 挿一輪 *

 かたちにすることは、簡単なようで難しいことです。
 頭のなかでアイデアが浮かんだら、実際にそのイメージを、文章なり、イ
ラストなり、具体的に書いてみてください。目に見えるかたちにすると、浮
かんだアイデアと、目の前のかたちとのギャップに驚きます。

 だいたいの大きな枠組みはすぐにできます。想像上のアイデアを、トレー
シングペーパーで写し取るようなものです。

 子どものころ、漫画や絵を写しませんでしたか。
 窓に下絵を押し付けて、薄い紙を重ねた上から、鉛筆でなぞりました。下
絵をはずしてみると、自分でなぞった線が、不完全だったり、ずれていたり
して、これは、なに?と首をかしげたこともありました。

 もっとも、何もない白紙から書き出すよりは、ずっと楽です。
 頭のなかのイメージも、写してから、線を補ったり、色付けをしたり、時
には、変更して、より効果をねらったり、それからの作業に時間がかかりま
す。

 下絵がしっかりしていれば、しっかりしているほど、くっきりと写し取る
のは簡単で、それからの仕上げにも短時間で済みます。

 インパクトが強くて、最初からはっきりとしたイメージが浮かぶことは、
あまりありません。毎日、そのイメージを繰り返し描いてゆくたびに、少し
ずつかたちができてゆきます。一度でできなくても、その繰り返しで、くっ
きりとしたかたちになってゆきます。

 途中で、無理かなと思っても、決してあきらめずに積み重ねてゆけば、少
しずつ近づいてゆきます。あきらめたり、めんどくさがってだれかのまねを
することなしに、あなたにいちばん合った方法で、イメージをふくらませて
ください。

 もしかしたら、毎日を生きてゆくということは、「あなた」というかたち
を、しっかりと作ってゆく作業なのかもしれません。

 ステキなあなたのイメージをふくらませてから、よりくっきりと写し取っ
て、世界でたったひとつの、あなたのかたちを育てあげていってください。

 これでいいというかたちは、より高いところをめざすあなたにとっては、
いつになっても、作り上げられないのかもしれません。

 でも、時間はたくさんあります。書いたり、消したり、またイメージをふ
くらましたり、その繰り返しが、ステキなあなたを作り上げてゆきます。

 あなたの力は、小さいかもしれませんが、ね、ひとつひとつ、大好きなた
ったひとつのあなたを、しっかりとかたちにしていってくださいね。



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