2005年12月のこびん

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<<第0261号 2005年12月29日(木)>

       白い息

         白い息
         白い息
         どんなに走っても
         なくならない
         白い息
         
         生きているから
         こんなに熱いものが
         つぎからつぎへと
         うまれてくる
         
         白い息
         白い息
         大切なことを
         忘れないで
         白い息


   * 挿一輪 *

 寒さ厳しい冬。
 真っ白な息が、からだからでてゆきます。
 
 こんなに、寒いのかなと、震えるのと同時に、
 息の白さに、思わず見入ってしまうことがあります。
 
 白い息。
 生きているんだな。
 
 吐いても、吐いても、白い息。
 なくなりません。
 
 からだのなかから、無尽蔵に、熱い息がでてきます。
 生きているんだよ。
 そう、教えてくれます。
 
 意識していませんね。
 いつもは、呼吸をしていても、見えませんから。
 
 でも、生きているんだよ。
 とても、大切なことを忘れないでね。
 
 白い息に、笑って答えられるように、
 強く、熱く、生きてゆきたいですね。
 
 いのちへの、恩返し。
 それは、
 生きていることを忘れずに、
 いきていることを大切にすることです。
 
 どんなときでも、じっと見守っている、
 母親のように。



第0260号 2005年12月25日(日)>

       ゆめの卵

         ゆめは
         知らないあいだにうまれている
         透明な卵
         
         あなたは
         どんなときでも
         じっとあたためつづけている
         
         なにもないとため息つかないで
         あなたのなかを
         そっとのぞいてごらん
         
         ほら
         感じるあたたかさは
         あなたの抱いている
         ゆめの卵


   * 挿一輪 *

 卵をかえすにはあたためます。
 じっとじっとあたためます。
 
 おかあさんがすることはそれだけです。
 なにも考えずに、
 そこに卵があるからじっとあたためます。
 
 見えているからでしょうか。
 感じているからでしょうか。
 
 卵のなかの育ついのちが。
 
 ゆめの卵は、時として見えません。
 
 ここにこんなゆめの卵があるよ。
 そう教えてくれたらどんなにいいでしょう。
 
 卵をかえしたらこんなゆめがでてくるよ。
 そう教えてくれたらどんなにいいでしょう。
 
 でも教えてくれません。
 教えてくれないけれどあなたは感じますね。
 見えないけれどあなたは感じますね。
 
 透明なゆめの卵をそっと抱いていることを。
 そっとあたためていることを。
 
 信じてあたため続けてください。
 かならずゆめがうまれます。
 
 おめでとうのひとことをかける日。
 その日を一緒に祝福させてくださいね。



<第0259号 2005年12月22日(木)>

       好き

         花がひらく
         
         ずっとまえに
         ちいさな
         ちいさな
         種をまいたから
         
         ことばがひらく
         
         ずっとまえに
         ちいさな
         ちいさな
         出会いがあったから
         
         好き
         というひとことの
         どうしても
         止められない
         深い理由


   * 挿一輪 *

 結果が目に見えるのには、実はとても長い時間が必要です。
 
 目の前に咲く一輪の花。
 その花の生まれは、小さな種。
 
 時間をさかのぼってみてください。
 昨日ですか。
 先週ですか。
 先月ですか。
 
 半年や一年。
 木になると、それこそ何年もかかるかもしれません。
 
 
 大好きな人に告げる、好き。
 
 好きになって、そのひとことをことばに出すためには。
 どのくらいの時間が必要でしたか。
 
 それこそ、昨日今日のことではないはずです。
 ふと出会って。
 どこか気になって。
 ずっと想って。
 どうしても伝えなくてはと決心して。
 
 まかれた種は、花もこころも。
 育てて、育てて、開きます。
 
 
 だから。
 いい種を選んで、ステキなこころを選んで。
 ゆっくりと育てていってください。
 
 きっと。
 最高の、好き、が、生まれるはずです。
 
 花も、想うあの人も、そして、あなた自身も。


<第0258号 2005年12月18日(日)>

       かがむ

         すこし頭を下げる
         すこし腰を低くする
         かがむ
         
         かがむことは
         卑屈になることではない
         かがむことは
         寄り添うように降りること
         
         ほんのわずかでも
         かがむことで
         見ようとしなかったものが
         見え初めてくる


   * 挿一輪 *

 視点を変えるのには、どうしたらいいのですか。
 違ったみかたをするのには、なにが必要ですか。
 
 頭で解決しようとしても、習慣はなかなか変えられません。
 
 そういうときは、からだを動かしてみてください。
 たとえば、姿勢を低くする。
 
 かがむことは、頭が低くなります。
 視線が低くなります。
 わずかな変化を感じやすくなります。
 
 相手に対して、卑屈になることではありません。
 対等に接したあとに、
 相手のこころのなかに、そっと降りてゆくこと。
 
 上から見ていたのでは、見ることができません。
 見ようとする、気持ちが湧いてこないのです。
 
 見えなかったのではなく、見ようとしなかった。
 かがむことで、そんな自分の姿勢まで見えてきます。
 
 そこまでわかれば。
 いままで、どうしてもわからなかったことが、
 糸をほぐすように、するすると解けることがあります。
 
 考え方が変わらないときには、姿勢を変えてみる。
 かがんでみて、初めて見えるもの、ありましたか?。


<第0257号 2005年12月15日(木)>

       もう少し

         もう少し
         もう少し
         あきらめないで
         もう少し
         
         ほんとうに
         もう少しなのだから


   * 挿一輪 *

 もう少し、って、どれくらいですか。
 それがわかれば、待つことができます。
 
 たしかに、未来が見えたならいいですね。
 そんな先でなくてもいい、明日のことでも見えたなら。
 
 でも、すぐ先のことでさえ、わかりません。
 いったいどうなるのか、だれも知ることができません。
 
 わかってしまったら、どうしますか。
 たとえば、良いほうにゆくことが、わかったならいいのですが、
 もし、悪いほうにゆくことが、確かめられてしまったなら。
 
 幸か不幸か、予測はできても、実際の形はわかりません。
 なぜだと思いますか?
 
 それは、あなたが、作ることができるからです。
 新しいページに、あなたの筆で、書くことができるからです。
 
 だからこそ、もう少し。
 いま、あきらめてしまったなら、そのままの形で、明日がきます。
 気を取り直して、もう少し。
 少しでも、思い描いている方向に、近づけることができます。
 
 明日を作ることができるのは、あなた自身だけです。
 
 もう少し。
 もう少し。
 もう少しだけ、続けてみませんか?


<第0256号 2005年12月11日(日)>

       見上げると

         見上げると
         空はこんなにも広いのに
         どうしてみんな
         下を向いているのだろう
         
         空には境界線もひいていないし
         競って箱も建てていない
         自分の名前を打ち付けてもいないし
         プライベートビーチもない
         
         なんにもないのは不安だろう
         ありすぎることになれてしまっているから
         
         まわりに気を配るのだろう
         からだやこころを傷つけてしまっているから
         
         でも見上げると
         思い出とともに浮かんでくるはず
         子どものころの
         大きくて広い空
         首が痛くなるまで見上げたことを
         ねころがってまで見上げたことを
         
         見上げると
         空はこんなにも広いのに
         どうしてみんな
         なにかを探すような顔をするのだろう


   * 挿一輪 *

 冷たい風が通り抜ける冬。
 コートのえりを立てたり、フードをかぶったり。
 
 上を向くなんて、寒くて冷たくて。
 からだを丸くして、うつむいて。
 
 でも、その遥か上には、空。
 青く澄み切った、空。
 
 空しかない。
 めまいがするような、怖さ。
 深さがわからないから。
 
 それで、みんな見ないのかもしれない。
 吸い込まれたらどうしよう。
 ほら、高いビルの屋上から、真下をのぞいている感じ。
 
 子どものころを思い出して。
 空を見上げながら走らなかった?
 
 笑いながら、走って走って、ぶつかって、ころんで、止まった。
 寝転がって、大きな空をずっと見上げて。
 
 大人になるって、どういうこと?
 空を忘れること?
 足元を、たしかめ、たしかめ、歩くこと?
 
 見上げると。
 だまされたと思って、見上げると。
 ほら、ほら、さがしているもの、見つかった?


<第0255号 2005年12月7日(木)>

       水たまり

         くぼみの形にたまる
         同じ世界を逆さに創る
         すましていたら
         小さな長靴たちに飛び込まれる
         
         太陽がぽっと上がり
         風がさっと吹いてくれば
         黄金の縁取り
         夢かないそうな魔法の鏡
         
         雨はきらいだけれど
         水たまりは大の仲良し
         
         あなたはずいぶんわがままだ
         さかんに昇る陽炎(かげろう)が
         ゆらゆら笑って旅支度
         
         ひっそり美人の水たまりは
         秘密の地球に行けそうだし
         
         泥んこやんちゃな水たまりは
         母さんのヤレヤレ顔が浮かびそう
         
         それでもいまのうちだけさ
         もしも明日になったなら
         ちょっぴりへこんだ
         ただのくぼみ
         
         こんどはいつ逢えるかわからない
         だからおもいっきり遊ぶのさ
         「いま」の友だち
         み・ず・た・ま・り


   * 挿一輪 *

 はやく遊びに行かなければ。
 かんじんの水たまりが、なくなっちゃう・・・。
 
 あなたも、長靴に履き替えて、
 外に出て、遊ばない?
 でも、汚れたら、自分で洗ってね。
 
 雨が嫌いでも。
 水たまりは好きでしょう。
 
 さあ、行こう!
 「いま」は、二度と来ないから。


<第0254号 2005年12月4日(日)>

       信じること

         信じること
         信じること
         生まれてきたわたしを
         信じること
         生きているわたしを
         信じること
         
         いのちをはぐくむ
         大きなちからを
         信じること
         包んでくれる
         声なきいのりを
         信じること
         
         信じること
         信じること
         妥協も賢しさも取り引きもなく
         ただまっすぐに
         信じること


   * 挿一輪 *

 無条件に信じることのむずかしさ。
 
 ここまでなら信じられる。
 その理論なら信じられる。
 報酬の結果が出れば信じられる。
 
 条件付で信じることが、まわりには数え切れないほどあります。
 
 ちょっとしたことで、だまされることが多い世の中。
 自己防衛のために、疑うのは必要かもしれません。
 
 でも、疑うのが当たり前になると、
 どれを信じていいのか、わからなくなります。
 ただやみくもに疑うと、
 ほんとうに信じていいものを、見逃してしまいます。
 
 何を判断にしたらいいのでしょうか。
 
 それは、結果のいかんにかかわらず、
 わたしはこれを信じきる、という気持ちが、大切のように思えます。
 
 信じることは、自分の意志です。
 だれかにすすめられたのでもなく、
 だれかに与えられたものでもありません。
 
 ならば。
 これこそは、というときのみ。
 信じるということを、迷わずに、まっすぐ行動にしてみませんか。


<第0253号 2005年12月1日(木)>

       やわらかく

         好きなことを
         じっと思っていると
         こころが
         やわらかくなってゆく
         
         いったい
         だれに
         見せようか


   * 挿一輪 *

 好きなことは、なんですか。
 考えて、立派な答えを出す必要はありません。
 
 とにかく、好きで仕方がないこと。
 
 真剣なのに、笑みがこぼれ、時間からからだがするりと抜けること。
 
 ほかのことなど頭に入らず、比較や優劣など飛び越えてしまうこと。
 
 やっていると、こころがやわらかくなります。
 音は聞こえるし、まわりのものも見える。
 でも、すべてのものが、そっと触れるように、優しく感じます。
 
 その、やわらかなこころを、だれかが見ています。
 そっと触れるような思いに、誘われてやってきます。
 
 ただ、じっとそばにいたい。
 はじめは、そう思っているはずです。
 
 好きなことをしているあなたは、
 好きなことをしているそのままのあなたを、
 ただ見せてあげてください。
 
 やわらかなこころが伝わり、
 好きなことをしたくなる人が、ひとり増えます。
 
 好きなことをするだけで、それをだれかに見せるだけで、
 やわらかなこころのつながりが、ひろがってゆきます。
 
 好きなこと、どんな小さなことでも、大切に続けてください。
 あなた自身のために。
 どこかで出会う、だれかのために。



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