2009年4月のこびん

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<第0454号 2009年4月26日(日)>

       あなたに 17

         街角を曲がって
         緑にかがやく広場
         カンバスに寄り添う
         網目模様の樹の影
         
         足もとに残る
         小さな水たまり
         ちらちらと遊ぶ
         たわむれる光の音符
         
         愛しいものは
         ふっと浮かびあがり
         目をはなしたすきに消える
         
         出会ったそのときに
         息をのむように受けとれ
         鏡面のこころに


   * 挿一輪 *

 以前に比べると人間の平均寿命は長くなりました。
 特に長寿大国といわれる日本人は男女とも世界一のクラスです。
 それだけ生きている時間が長くなったということでしょうか。
 
 その長くなった時間を、
 さて充実してすごしている人も多いとは思いますが、
 その一方で無為に時間をつぶしてしまったと、
 後悔をする人もいるのではないでしょうか。
 
 自分の時間を大切に生きることがいちばん良いことですが、
 そのために何か特別なことをする必要があると、
 むずかしく考えることはありません。
 
 いのちは生きている限りかならず出会いがあります。
 出会いは人と人との出会いだけではなく、
 ふと目に飛びこんだ小さな事象にも求められます。
 
 ほんのわずかでも気をつけていれば、
 足もとの小さな光や影のゆらぎやうつろいも、
 こころにとめることができます。
 
 こころはいつでもどこでもまっさらです。
 受け入れようと思えばそれだけで、
 鏡の水面に風が立つように反応することができます。
 さあ、あなたのぐるりから大切な出会いを見つけてくださいね。


<第0453号 2009年4月19日(日)>

       あなたに 16

         雲が生まれるところを
         知っているかい
         なにもない山の端の
         ほらあの輝く峠のあたり
         
         今日がうまれるところを
         知っているかい
         夢がとぎれた
         オレンジ色のまぶたのあたり
         
         声もなく
         匂いもなく
         だれにも気づかれることなく
         
         からだのなかの
         いのちの鼓動だけが
         そっと教えてくれる


   * 挿一輪 *

 山の上の青空をぼーっと見ていました。
 雲ひとつない青一色の空。
 
 しばらくしてふと気がつくと、
 ぽっかりと小さな雲が浮んでいます。
 いつのまにか山の端から雲が生まれたのでしょうね。
 
 雲が生まれるところがあるように、
 今日という日が生まれるところがあるはずです。
 それはシンデレラの物語のように、
 時計の針が12時を越えた時でしょうか。
 たしかに日付が変われば新しい24時間は始まります。
 
 でも新しい今日という日は、
 もっとステキな始まりかたをしてほしいものです。
 「カーテンのすきまから朝陽がもれて、
 眠っているあなたのまぶたがオレンジ色に染まった時から」
 たとえば、そんな今日の始まりかたはいかがでしょうか。
 
 ひとりひとりに、それぞれの始まりかたがあります。
 あなたにふさわしい、あなただけの、新しい今日との出会いを、
 オリジナルで決めてみてはいかがでしょうか。
 
 なんとなく一日が始まって終わってしまうなんて、
 二度とない今日という日が、もったいないとは思いませんか。


<第0452号 2009年4月12日(日)>

       あなたに 15

         小指の爪ほどの
         真白い紙で
         あなたは器用に
         鶴を折る
         
         やわらかな
         春の日ざしを
         かえたばかりの
         青い畳に反射させながら
         
         一心不乱に
         光の形のままに
         いのりをこめて
         
         しんとした
         静けさそのままに
         いのちをこめて


   * 挿一輪 *

 折り紙には不思議な魅力があります。
 はじめは軽い遊びのつもりが、
 いつのまにか時間のたつのも忘れるくらい一心不乱になります。
 
 一枚の紙を指先で折りこむことだけで、
 さまざまな動物や花などが作れますが、
 いちばん良く折られるのが鶴ではないでしょうか。
 
 折鶴はその指先に祈りがこもります。
 試合に勝つための祈り、病気が治るための祈り、
 ひとつひとつの祈りが束になっての千羽鶴。
 
 指先でただ紙を折るという行為が、
 祈りをこめるというこころの動きに昇華する、
 たしかに真剣に折鶴をしている姿は美しいですね。
 
 器用不器用に関係なく、
 だれもがこころをこめた想いを折りこむとき、
 まるで陽だまりそのもののように、
 まぶしいほど輝いて見えてきます。
 
 いのちは本来、光を発するものかもしれません。
 いつもは埋み火のように見えなくても、
 祈りの風が吹き続けることで、
 あたたかな大きな光になるのにちがいありません。


<第0451号 2009年4月5日(日)>

       あなたに 14

         新しい始まりに
         たったひとつだけ
         願いをこころに
         いだいてみよう
         
         道端に咲く
         たんぽぽの花が
         いつもみあげている
         光る空のように
         
         いまのあなたの
         からだからあふれるような
         願いを
         
         明日につながる
         あなただけの
         願いを


   * 挿一輪 *

 4月。
 新しい年度が始まります。
 進学や進級、そして社会に出る人たち、
 それぞれに希望をもって新しい環境を迎えることでしょう。
 
 あれもやりたい、これもやりたい、と、
 無数の挑戦をイメージしている人もいれば、
 不安から新しい世界になれることにせいいっぱいで、
 まだなにも方向性が決まっていない人もいると思います。
 
 まずひとつのことから始めてみてください。
 いままでのことをすべて変えようとせず、
 いまのあなたを継続しながら、
 ひとつでも明日のあなたをつくっていってください。
 
 たとえばひとつの願いをもってみてはいかがでしょうか。
 笑顔の数をふやしてみたい、趣味の中味を濃くしてみたい、
 そんなささやかなことでもかまいません。
 
 できるならばあなたの力をいっぱいいっぱいに使って、
 もう少しでかなえられるようなそんな願いならば最高です。
 
 たったひとつの願いがあなたを大きくしてくれますし、
 かならず明日のあなたの生き方につながります。
 たんぽぽの花には願いが光っているように思いませんか。



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