2013年1月のこびん

戻る


<第0650号 2013年1月27日(日)>

       かぜ〜たからもの4

         ゆらすかぜ
         たてものを
         きを
         からだを
         
         りょうてで
         ちからのかぎり
         つかみ
         ふりまわし
         
         とうめいなては
         つぎからつぎへと
         たえまなく
         つかんでは
         はげしくふるい
         
         そのたびに
         ひとかたまり
         ひとかたまり
         おおきなほこりが
         はがれはがれ
         みるみるうちに
         とおくへちいさく
         
         ゆらされたきは
         ゆすぶられたわたしは
         ほそみになり
         ほねだけになり
         さむぞらに
         うつくしいすがたで
         むだのない
         あすのすがたに
         
         かぜよふけ
         もっとつよくふけ
         いつまでもふけ
         きが
         たからもののようにかがやくまで
         わたしが
         たからもののようにかがやくまで


   * 挿一輪 *

 冷たい冬の季節風。
 余分なものをはぎとり飛ばし去り。
 残るものは骨格のみ。
 
 裸木の美しさは、生きている木の骨格の美しさなのでしょう。
 人もまた余分なものを脱ぎ捨てたとき、
 その本来の美しさがわかるものかもしれません。
 
 でもそれと同時にほんとうの姿もさらしてしまいます。
 からだもこころも隠しようもない個々のいのちのかたちです。
 
 その前にたたずむときは、
 たとえどんな場面であろうと、
 お互いいのち同士として真摯に向き合いたいですね。


<第0649号 2013年1月20日(日)>

       こころのめ〜たからもの3

         あなたのつちから
         めばえた
         め
         
         やわらかな
         あなただけの
         アンテナ
         
         かぜがふくとなびき
         なにかがちかづくと
         ふるえる
         
         よりそってくれるもの
         きずつけてしまうもの
         
         めは
         ふれるまでわからない
         
         あなたのつちから
         めばえた
         め
         
         ここちよいもの
         あいいれないもの
         
         だれもおしえてくれないから
         とてもふあんにおもうけど
         
         あなたのめを
         はぐくんだつちを
         ただしんじて
         そのかんかくを
         ただしんじて
         
         のびてゆく
         のばしてゆく
         
         あなたのつちから
         めばえた
         め


   * 挿一輪 *

 芽は伸びてゆきます。
 
 種子のなかの自分と、
 自分を包んでくれていた大地とを信じて。
 
 そこに一点の疑いもなく、
 まっすぐに伸びてゆきます。
 
 信じることの強さ、大切さ。
 生きることは、
 そのまま信じきることなのでしょう、みずからのいのちを。


<第0648号 2013年1月13日(日)>

       おひさま〜たからもの2

         おひさまにむかって
         いっぽんの
         ひこうきぐも
         のびる
         
         おひさまにむかって
         いっぽんの
         しろいあこがれ
         のびる
         
         まるで
         ちいさなキャンディーを
         どうぞとおかれたように
         キリンのくもが
         ぱくりとくちをあけて
         おひさまひとつ
         たべてしまうところ
         
         おひさまにむかって
         いっぽんの
         ひこうきぐも
         のびる
         
         たったひとつの
         たからもの
         おいらがまもってやるのだと
         ひこうきぐもが
         たすけにのびる


   * 挿一輪 *

 ふと見上げると冬空に雲が広がってきました。
 近くの太陽がもうすぐに隠れそうです。
 あたたかな日向が消えてしまいそうです。
 
 考えてみれば太陽はわけへだてなく与えられたみんなの宝物です。
 それこそ空気と同じように、
 あるのがあたりまえすぎて気がつきません。
 
 だれもが平等に得ることができるのに、
 気がつくものだけが宝物として感謝をしている。
 
 身のまわりを見まわすと、数え切れないほどみつけられます。
 高価なもの、稀なものだけが宝物ではありません。
 むしろ身のまわりで気がつくだけのもののほうが、
 だれにでも宝物にできるのかもしれません。
 
 でも、いつでもそこにあるからといって、
 安心しているととつぜん奪われてしまうかもしれません。
 守るべきものは、一直線に伸びる飛行機雲のように、
 今すぐこの手でしっかりと守りたいですね。


<第0647号 2013年1月6日(日)>

       おもいで〜たからもの1

         とおいむかしのおもいでは
         いちばんかがやくところだけ
         めのまえふうわりういてくる
         
         どんなきれいなほうせきばこの
         どんなこうかなほうせきよりも
         ねだんなんかつけられないかち
         
         ひとからみたらがらくただけど
         わたしがいきているあいだじゅう
         かがやきひかりまもられつづけ
         
         けれどかげもかたちものこらずに
         いつかわたしがしんだなら
         みずにはしるはもんのように
         だれにもつげずにきえてしまう
         
         それでもわたしのいのちのなか
         このよにひとつのたからもの
         あなたにもらったたからもの
         たったひとつのわたしのささえ


   * 挿一輪 *

 だれもみなたからものをもっているはずです。
 それも人から見たら何の価値もないようなもの。
 
 どんなに高価なものでも興味がなければがらくたに等しい。
 だからたからものはそれぞれ違うのです。
 
 思い出はもしかしたらその際たるものかもしれません。
 なぜならたからものにしているのは当事者だけ。
 それも見方によっては美しい思い出にも苦い思い出にも。
 
 ただ思い出というたからものはその人とともに生きて、
 その人とともに消えてゆきます。
 
 考えてみればこれほど大切なたからものはありません。
 湯たんぽのようにあたたかく厳しい寒さにも耐えられる。
 
 というほど、強力なものならそれひとつで大丈夫なのですが、
 できることならいくつかたからものを集めておきたいですね。
 
 生きてゆく上での輝くためのアイテムたち。
 寄り添うあなたの日常のなかから見つけていってくださいね。




このページのトップに戻る

Copyright© 2013 Kokoro no Kobin