2013年6月のこびん

戻る


<第0672号 2013年6月30日(日)>

       だるまおとし

         なやみがひとつ
         なやみがひとつ
         かさなってゆく
         つみかさなってゆく
         ひとつがふたつ
         ふたつがみっつ
         たかくたかく
         つみかさなって
         
         なやみがひとつ
         なやみがひとつ
         そのままきえずに
         そうをなし
         みあげるように
         たかくなっても
         きえるよかんは
         まるでなし
         
         なやみがひとつ
         なやみがひとつ
         だるまおとしの
         きづちをひとつ
         どこかとおくの
         あのやまのはの
         もっとむこうの
         とおくから
         
         なやみをひとつ
         なやみをひとつ
         ひきずってきた
         おおきなきづち
         ちからいっぱい
         ふりまわして
         ごんとひとつが
         とんでゆく


   * 挿一輪 *

 心配や悩みは気にすれば気にするほど増えてゆきます。
 最初はささやかなことかもしれませんが、
 思いつめると大きく膨らんでゆきます。
 
 ひとつの悩みがまた別の悩みを呼び込んで、
 いつのまにか悩みだらけになってしまいかねません。
 
 だるまおとしの木槌のように、
 そんな積み重なった悩みをスカッと飛ばせたらいいですね。
 
 けれど、実際はいつまでも悩みは引きずってしまうもの。
 せめてひとつひとつの悩みをしっかりと見据えて、
 まっすぐに向きあってゆきたいですね。


<第0671号 2013年6月23日(日)>

       雨

         ジュラ紀
         白亜紀
         恐竜たちは
         やまない雨を
         うらんだのかしら
         
         ジュラ紀
         白亜紀
         恐竜たちは
         ものともしないで
         でかけたのかしら
         
         骨格標本しか
         残っていない
         博物館の片すみで
         外の雨ふり
         まどから見てる
         
         ちいさく
         ちいさく
         詰まったヒトは
         カサという名の
         知恵を得たけど
         
         ジュラ紀
         白亜紀
         恐竜たちは
         もしも滅びず続いたら
         特大カサを
         選んだかしら


   * 挿一輪 *

 雨が降るとカサを差します。
 ヒトだけがすることですね。
 
 雨が降っても出かけなくてはならないからなのか、
 雨に濡れるのが嫌なためなのか、
 梅雨の時期はカサの花が一斉に咲きます。
 
 外に出られないだけではなく、
 気分までゆううつになって早くあがらないかなと思ったり。
 
 でも、
 雨は止むまで降り続きます。
 
 それならば。
 
 雨で遊んでみませんか。
 別に外に出て雨に濡れなくても、
 雨を見ているだけでいろいろ遊べます。
 
 どんな方法で?
 それを考えるのもまた楽しい遊びになりませんか。
 
 こころのもちかたひとつで、
 その日が楽しくなるのなら、
 とてもすてきなことですね。


<第0670号 2013年6月16日(日)>

       番人

         ズンっと
         風が寄せてきた
         
         お手紙ですか
         ポストが聞いた
         
         答えもなしに
         若葉が貼りついた
         
         宛て名がないと
         届きません
         
         速記のように
         雨粒が飛んできた
         
         口を開けるふりをして
         プイと
         ポストは横を向いた


   * 挿一輪 *

 受け入れることは大切です。
 おなじように、
 受け入れないことも大切です。
 
 その基準はどこにあるのでしょうか。
 あなたのなかにあります。
 
 変だなと思いながら、
 周りを見回しながら受け入れたり、
 これいいなと思いながら、
 周りに遠慮してあきらめてしまったり。
 
 ものごとにはかならず二面性があるように、
 性格も見方によって良くも悪くも見えます。
 
 たとえば、慎重と優柔不断は表裏一体ですし、
 しっかりものと頑固もまた違う側面からの判断です。
 
 他人から見られた姿を気にするのなら、
 そのエネルギーをあなたの「いま」に使いたいですね。


<第0669号 2013年6月9日(日)>

       うたをうたえ

         うたをうたえ
         うたをうたえ
         つむぎだした
         ことばのいとを
         ちのながれの
         りずむにのせて
         
         うたをうたえ
         うたをうたえ
         どんなところでも
         だれもいないところでも
         きいている
         たしかにきいている
         たったひとり
         あなたじしんが
         
         うたをうたえ
         うたをうたえ
         さいしょは
         かのなくほどのこえでも
         おそるおそるでも
         すこしずつ
         おんりょうをあげて
         てんぽをあげて
         
         うたをうたえ
         うたをうたえ
         どうしようもなく
         あなたのなかから
         あふれでる
         いまのおもいを
         いまのりずむを


   * 挿一輪 *

 無性に歌を歌いたくなることがありませんか。
 
 そこまでゆかなくても、
 気がついたら好きな歌を口ずさんでいたことはあるでしょうか。
 
 一人になったときに、
 友人と一緒になったときに、
 好きな人と並んでいるときに。
 
 楽器がなくても、
 カラオケでなくても、
 アカペラで、
 もっというなら鼻歌で。
 
 歌を歌っていると、
 まるでどこかへ旅行したときのように、
 いつもと異なる感情が出てきます。
 
 ふと、歌を歌いたくなったとき、
 それはあなたのなかで、
 なにかを求めている証しなのかもしれませんね。


<第0668号 2013年6月2日(日)>

       あなた

         まっすぐ見ても
         ならんで見ても
         うえから見ても
         しゃがんで見ても
         
         あなたは
         あなたなのだけれど
         
         東にむかって通る街並みと
         西にむかって通る街並みが
         ただそれだけで
         違って見えるように
         
         あなたは
         たくさんの
         あなたの面をもっている
         
         こちらからあなたを
         愛でるのもいいけれど
         あちらからのあなたを
         厭うのもしかたないけれど
         
         あなたは
         たくさんの
         あなたをつつみこんだ
         ひとつの
         あなたなのだから
         
         たまには
         ぐるぐるまわしてみたり
         でんぐりかえしてみたり
         
         いつも見えないあなたを
         さがしにゆかないか
         さがしにゆかないか


   * 挿一輪 *

 道ばたに落ちている小さな石が、
 見る角度によって笑っている顔に見えたりしたことはありませんか。
 
 いつも見ている建物が、
 別の角度から見る機会があれば、
 はじめて見るように新鮮に感じることもあるでしょう。
 
 日常では、ほんの身近なものさえも、
 同じ角度からしか見ていないことが驚くほど多いのです。
 
 人間の姿かたちもまたしかりです。
 見なれた人の後姿をかいま見て、
 ふと考え込んでしまうことはありませんか。
 
 見えるものだけでなく、
 こころもまたさまざまな角度からみることができます。
 やわらかな感受性を失わないで、
 遊びごころでもいいですから、
 いろいろな角度からものを見てみたいですね。




このページのトップに戻る

Copyright© 2013 Kokoro no Kobin