2013年9月のこびん

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<第0685号 2013年9月29日(日)>

       黒猫

         雲ひとつない
         台風一過の秋空
         
         まだ残る風を避けて
         陽だまりで
         黒猫が身づくろい
         
         ニャーとあいさつすると
         ニャーの形に口を動かす
         
         つややかな黒い毛並み
         秋の時間が
         透明な水滴のように
         コロコロと遊んでいる
         
         夢ひとつない
         台風一家の秋空
         
         そろそろクロ君
         飛んでしまった夢のかけらを
         一緒に探してくれないか


   * 挿一輪 *

 黒猫が好きです。
 トラや三毛もいいのですが、
 黒猫には不思議にひきつけられます。
 
 特に神秘的な黄金色の目。
 不思議な力があるように思ってしまいます。
 
 黒猫はカラス猫といい、
 不吉なことが起こると言われることもあります。
 ポーの「黒猫」は有名ですね。
 
 一方で幸せをもたらすものとして、
 地域で大切にされることもあります。
 
 きっと目が他の猫よりも目立つので、
 特別な感じがするのでしょうね。
 
 そんな神秘的なところと、
 意外と人懐っこいところ、
 あなたは黒猫についてどう思っていますか?
 
 おなじ黒猫を見ても、
 その人によって異なる感情をいだきます。
 良いとか悪いとかではなく、
 その人によって、
 習慣や意見の異なることの大切な意味が分かってきますね。


<第0684号 2013年9月22日(日)>

       雲の昼寝

         空が
         しましまの雲を着て
         ゆらり
         ゆらりと
         昼寝をしている
         
         秋風通りの
         仕立て屋さんは
         うーんと
         大きく伸びをして
         
         胸もとの
         ワンポイントに
         アザミの花を
         秋風の糸で
         つけてから
         
         おーいと
         澄んだテナーで
         起こします


   * 挿一輪 *

 青い空に、
 さまざまな表情をした白い雲。
 
 見上げていると、
 動物やら、鳥やら、
 風によって次々と変わってゆく雲。
 
 秋ですね。
 
 指先で、
 かわいい落書きをしたくなりませんか。


<第0683号 2013年9月15日(日)>

       うた

         うたをうたう
         からだをつかって
         
         うたをうたう
         こころをつかって
         
         よろこびや
         かなしみや
         
         ふあんや
         きたいや
         
         おもいを
         つたえたかったら
         
         うたをうたう
         おしみなく
         
         うたをうたう
         いまのじぶんで


   * 挿一輪 *

 うたをうたいますか。
 
 はなうたでも、
 CDに合わせながらでも、
 カラオケでも、
 だれかと一緒でも。
 
 うたうなら、
 リラックスして、
 自分のからだを楽器にして。
 
 せいいっぱい、
 できるかぎりの呼吸で、
 うたいきりたいですね。
 
 からだも、
 こころも、
 気持ちよくからっぽにしたら、
 秋の青空の新鮮な空気で、
 思いっきり満たしてください。
 
 さあ、
 うたをうたいますか。


<第0682号 2013年9月8日(日)>

       雲

         どうしても
         ささえきれなくなると
         雲は
         泣きます
         
         じぶんの
         重さを
         なくしたくて
         泣きます
         
         泣きつくすと
         とうめいになって
         じぶんを
         忘れてしまうのですが
         
         迷子になった涙たちは
         母を求めるように
         音もなく
         帰ってきます


   * 挿一輪 *

 激しい雨。
 雲達がいっせいに泣き出しました。
 なぐさめるすべもなく、
 ただ泣き止むのをじっと待つしかありません。
 
 悲しいと涙が出ます。
 泣きつくすと少し落ち着きます。
 悲しみで染まったこころが、
 とうめいになることができます。
 
 生きてゆくためには、
 雨降りの日が必要なのですね、きっと。


<第0681号 2013年9月1日(日)>

       親友

         なんども
         なんども
         この前を通ったのに
         ただのいちども
         気がつかなかった
         
         それは
         きみのせいではない
         それは
         ぼくのせいではない
         
         すれ違っただけでは
         出会うことにはならない
         どちらかの片思いでも
         呼び止めたことにはならない
         
         ようやくいま
         こうして
         きみとぼくとの
         視線が結ばれた
         
         もう二度と
         離れることがない
         そして
         これからずっと
         どこで会っても
         笑顔であいさつできる
         親友に


   * 挿一輪 *

 不思議なことは日常のなかにかくれています。
 毎日毎日同じように見ていても、
 記憶に残らない不思議なこと。
 
 こちらが意識をしないためなのか、
 むこうが声をかけないからか。
 
 双方で気がついて初めて出会いになります。
 一方通行だけではすれ違いなのです。
 
 すくなくても、
 あなたが気がつかない限り、
 出会いは決してありません。
 
 たくさんの声なき声かけが、
 毎日のようにあなたにされているというのに。
 
 生きているうちどれだけたくさんの、
 いのちの親友ができるのか。
 それはあなた自身にかかっているのです、きっと。




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