2016年9月のこびん

戻る


<第0841号 2016年9月25日(日)>

       なでしこ

         そっと
         指先で
         ふれてみたい
         
         そっと
         掌で
         なでてみたい
         
         はにかみながら
         秋の風に
         後れ毛をゆらし
         
         なでしこよ
         のぞみは
         さ青の空の声か


   * 挿一輪 *

 そっと触れてみたいものがあります。
 
 大好きなもの、すぐに消えてなくなりそうなもの。
 
 そこにある物は変わらなくても、
 見たり聞いたりするひとのこころはいつか変わってしまいます。
 
 触れてみたい、そう思ったときに、一歩立ち止まって。
 
 そのひとときが、小さな宝物になることもありますから。


<第0840号 2016年9月18日(日)>

       よばれて

         いちばん
         みたいもの
         
         いちばん
         ふれたいもの
         
         いちばん
         いっしょにいたいもの
         
         じかんがないとか
         とおいとか
         じぶんじしんに
         いいわけをしないで
         
         たったいますぐ
         とんでゆけ


   * 挿一輪 *

 ふと気になったらすぐに動きましょう。
 
 どうしてでしょうか?
 
 だれかが、なにかが、呼んでいるのです、自分を。
 
 その、だれかを、なにかを、たしかめるために。


<第0839号 2016年9月11日(日)>

       おくりもの

         いつもと変わらない
         いちにちのはずなのに
         
         明日への
         旅の支度をするだけで
         楽しくなる
         
         新しい日が
         おくりもののように
         うれしくなる


   * 挿一輪 *

 楽しい明日からの旅行を思うだけで、
 前夜は眠れなくなることがあります。
 
 明日という日は、
 日常と変わらぬいちにちなのに。
 
 毎日を旅のように過ごせるといいですね。


<第0838号 2016年9月4日(日)>

       くるり

         九月の空の
         あちらこちらに
         ぽっかり浮かんだ雲
         
         九月の風に
         押され押され
         かたちを変えてゆく
         
         いるかの雲の
         ほっそりとした
         尾びれが消えてゆき
         
         ふっと振り返ると
         マンボウの親子の雲が
         くるりと向きを変えていた


   * 挿一輪 *

 青空にぽっかりと浮いた白い雲。
 
 9月になってみると、不思議に秋を感じます。
 
 時の流れは目に見えないもの。
 でもこうして雲の変化を見ていると感じます。
 
 動いている日常。
 決して同じときは二度とありません。
 
 大切にすごしたいものですね。




このページのトップに戻る

Copyright© 2016 Kokoro no Kobin