2018年6月のこびん

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<第0932号 2018年6月24日(日)>

       いつだって

         なみだが
         あとから
         あとから
         こぼれるのは
         なみだが
         どこかへ
         ゆきたがっているから
         
         こころが
         あとから
         あとから
         でてくるのは
         こころが
         なにかを
         よびたがっているから
         
         なにもしなくていい
         なにもしなくていい
         
         いつだって
         かなしみは
         つゆのはれまに
         わすれていた
         そらのたかさを
         おもいださせる

         

   * 挿一輪 *

 忘れようとしても、ふとしたときに、かなしみは思い出されます。
 
 かなしみは、決して消えることはありません。
 
 だから、じっと寄り添うように抱き続けるしかありません。
 
 夕暮れに、膝を抱えて並んで座る二人のように。


<第0931号 2018年6月17日(日)>

       つづける

         つづける
         ときには
         かくすように
         ときには
         まよいながら
         
         つづける
         みまわすと
         みないなくなり
         ただきこえる
         わたしのあゆみ
         
         つづける
         きがつくと
         いつくしむ
         くちなしの
         ましろなはな
         
         つづける
         いきてるあかし
         つづけてゆく
         いきてるかぎり
         つづいてゆく

         

   * 挿一輪 *

 ひとを、いとおしくおもうとき。
 
 それは、どんなささやかなことでも、つづけていられること。
 
 お金にもならなくても、だれかの役に立たなくても、ただひたすらに。
 
 だれからも振り向かれなくても、馬鹿にされようとも、こつこつと。
 
 そうまでしても、なぜか、つづけてゆくことができるものが、ある。
 
 そんなとき、ひとを、かぎりなく、いとおしくおもう。


<第0930号 2018年6月10日(日)>

       だれと

         かぜは
         ひとりでうたえない
         かぜは
         だれとうたってる
         
         まどの すきま
         こずえの わかば
         はしる あなた
         
         ひとも
         ひとりではうたえない
         ひとは
         だれとうたってる
         
         あしたへの ゆめ
         すれちがう しせん
         よりそう えみ

         

   * 挿一輪 *

 風の音を聞いています。
 
 少し強い南風。
 
 じっと聞いているとさまざまな音が聞こえます。
 
 電線のうなる音、葉のこすれる音、気の早い風鈴の音。
 
 風はなにかと触れ合うことで音が生まれます。
 
 ひとのこころに、なにかが生まれるのも、
 触れ合うことがきっかけになるのと、同じですね。


<第0929号 2018年6月3日(日)>

       りゆう

         はなが
         さくのは
         
         だれかを
         たのしませる
         ためでは
         ない
         
         はなが
         さくのは
         
         わきめも
         ふらずに
         いきるため
         じぶんを

         

   * 挿一輪 *

 花を見て、きれいだと思うのは、人間だけかもしれない。
 
 生きるための理由を探しているのも、人間だけかもしれない。
 
 幸か不幸か、人間も花とおなじ生き物であるのだから、
 
 花にならって、わきめもふらず生きてゆくことができる。






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