2019年6月のこびん

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<第0985号 2019年6月30日(日)>

       いきている

         みずたまりの
         あめは
         ぎんいろの
         せんこうはなび
         
         はっぱのうえの
         あめは
         きんいろの
         べっこうざいく
         
         あめあがりの
         そらは
         ミントのガムの
         つつみがみ
         
         きょうもこのほしに
         わたしはいきている

         

   * 挿一輪 *

 生きていることのすばらしさ。
 
 ふっと見渡せば、身の回りにこの世界があることです。
 
 大きな世界に生きているという事実に深呼吸。


<第0984号 2019年6月23日(日)>

       みている

         じっとみている
         まっすぐにみている
         みていないふりをして
         そっとみている
         
         ふっとかんじる
         あなたのまなざし
         あたたかないろ
         すずしげなかぜ
         
         たちどまっても
         きょろきょろしても
         すぐみつからない
         
         じっとみている
         ぱっとめがあうことが
         であいのはじまり

         

   * 挿一輪 *

 日常のなかで、視線は時に不安や嫌悪感をおぼえます。
 
 多くは、ひとの視線に限られるように思います。
 
 ひとだけではなく、身の回り、人工物のなかにも、視線は感じられます。
 
 多くは、人間の眼より優しく暖かでユーモラスな感じがあります。
 
 そんな眼を探すのも、楽しいヒントとの出会いのように思います。
 
 さあ、あなたのまわりで探してみませんか。


<第0983号 2019年6月16日(日)>

       かくれんぼ

         まちに
         ひっそりと
         かくれている
         ものたち
         
         よりそって
         そっと
         みまもられる
         ものたち
         
         こえもあげず
         きがつくのを
         どこでまつこともなく
         
         あたたかく
         つつみこみ
         いつのまにかほほえみ

         

   * 挿一輪 *

 だれもが、ひとりで生きることはむずかしいものです。
 
 けれど、ふと見守ってくれる目があって生きられるのなら。
 
 やさしい目のだれかに、出会えたらいいですね。


<第0982号 2019年6月9日(日)>

       あめのものがたり

         あめが
         ふるまえから
         ものがたりがはじまることを
         あなたはしっている
         
         あめが
         ひとしきりふりおえても
         ものがたりがつづくことを
         あなたはしっている
         
         あめがきらいと
         あなたはいうけれど
         かなしみがきらいと
         あなたはいうけれど
         
         あなたはあめのさなかでも
         あなたのいまをつむいでいる

         

   * 挿一輪 *

 雨が木の葉のうえに落ち、集まって水滴になります。
 
 水滴は集まって大きくなり、いつか葉から落ちてゆきます。
 
 葉のうえにはまた雨が落ち、水滴が大きくなり、ふっと雨がやみます。
 
 水滴はそのまま残り、まわりの景色とのぞきこむあなたを映しこみます。
 
 ものがたりは、いつのまにかそっとうながされるように動き出します。
 
 その場にたたずむあなたは、ひとつのものがたりの主人公です。
 
 そして、あなたのものがたりは、あなた自身がつむぎます。


<第0981号 2019年6月2日(日)>

       リズム

         くりかえす
         リズム
         くりかえす
         リズム
         
         きがつくと
         わたしまでも
         くりかえす
         リズム
         
         リズムは
         とびはねる
         エスコートする
         
         つつんだリズム
         わたしにとけて
         だれにつたわる

         

   * 挿一輪 *

 くりかえすリズムは、心地よいものです。
 
 時にはすべてを忘れて、リズムに身をゆだねたくなります。
 
 そして、自分に伝わったリズムは、だれかに伝えたくなります。
 
 心地よいリズムは、つぎつぎと伝えられてゆくのでしょうね。






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