2020年8月のこびん

戻る


<第1046号 2020年8月30日(日)>

       つりあげて

         つりあげて みた
         ひっかかるもの を
         しらないふり して
         けれども かくじつに
         
         しばらく おいた
         たかいそらに そのまま
         とりがいちわ とんで
         めのはしで たしかめて
         
         すこしだけ ないた
         なききれずに とめた
         ふりたりない あめあがり
         つかんだてを はなした
         
         まだ さがしている
         また つりあげにゆく
         しらないふり して
         ぶきような あーむ

         

   * 挿一輪 *

 世界には無数のものがあります。
 
 身のまわりの日常のなかにも、数えきれないほどのものが。
 
 例えば、あなたの目の前にいつもあるもの。
 
 いつも手に取って、いつも利用して、いつも見続けて。
 
 でも、それ、かじったことありますか。
 
 手触りはわかっていても、味は、音は、もしかしたら気持ちは?
 
 あらゆるものが雑多にころがっていて、あなたもそのひとつ。
 
 そんなあなただからこそ、隠されている神秘的な中身は無限大です。


<第1045号 2020年8月23日(日)>

       そのまんま

         そのまんま
         そのまんま
         あるいてみた り
         たたずんだ り
         
         そのまんま
         そのまんま
         なげいてみた り
         にゃっとした り
         
         そのまんま
         そのまんま
         みられた め でなく
         この め でみてみる
         
         そのまんま
         そのまんま
         こころ ひろびろ
         からだ のびのび

         

   * 挿一輪 *

 千人いたら千通りの「そのまんま」。
 
 京都の三十三間堂には、千体の千手観音像がおられます。
 
 似ている観音像に出会うことができると言われています。
 
 でも、似ている観音像はあっても、自分と同じ観音像はありません。
 
 向き合う自分もまた、ひとつの観音像だからです。
 
 こちらから見るもの、あちらから見るもの。
 
 自分「そのまんま」のいのちで、生きていきましょう。


<第1044号 2020年8月16日(日)>

       ふたり

         あなたのこえが
         きこえたら
         あなたのうたが
         きこえます
         
         あなたのひとみが
         みえたなら
         あなたのりずむが
         はいります
         
         ふたりで
         いっしょにいることは
         ふたつのいろが
         まざること
         
         けれども
         けっしてにごらずに
         すんだねいろが
         うまれます

         

   * 挿一輪 *

 二人でいると、一人ではできないことができます。
 
 二人でいると、新しい変化が生まれます。
 
 わたしとあなた。
 
 それぞれの色を残しながら、新しい色が生まれます。
 
 いのちの伝達は、減点法ではなく加点法です。


<第1043号 2020年8月9日(日)>

       かじつ

         そらのまんなかに
         みてごらん
         だれもきがつかない
         おおきなもえるみ
         
         しっかりそだった
         なつのかじつ
         だきしめているのは
         あきへのいのり
         
         さるすべりのきを
         するすると
         ひかりのくだがのぼる
         
         おーい てっぺんのはな
         うれたあまいしるを
         わたしにわけておくれ

         

   * 挿一輪 *

 夏、本番。
 
 景色は、煮えたぎるようで、不用意に触れたら、火傷しそうです。
 
 でも、この暑さが、熟成の秋への下ごしらえです。
 
 しっかりと、エネルギーをもらって、おいしい果実になあれ。


<第1042号 2020年8月2日(日)>

       たどる

         やさしさ
         ささやき
         きがつく
         くるくる
         
         ときめき
         きになる
         るんるん
         んっしょ
         
         つぶやく
         くみこむ
         むふむふ
         ふりむく
         
         つたえて
         てつなぐ
         ぐるっと
         ともだち

         

   * 挿一輪 *

 なにごとも、始まりがあります。
 
 ひとつのことから、たどっていって、点が線になります。
 
 始まりは、だれでも持っています。
 
 重要なのは、始まりからたどってゆくことです。
 
 小さな思いつきでも気づきでも、そのままにせずに展開してみましょう。
 
 まず、一歩、そして、つぎの、一歩につなげることです。






このページのトップに戻る

Copyright© 2020 Kokoro no Kobin