<第1076号 2021年3月28日(日)> ゆきやなぎ きいて きいて おはなしきいて はなしたくて しかたがないの とおりかかる ふっとふれる だれでもいいから ここにきて かぜはゆきすぎ ひかりはあそび もんしろちょうは ゆうじゅうふだん きかせて きかせて おはなしきかせて あなたのことも しりたいの * 挿一輪 * 歩いていると、声がかかります。 じっと見つめたり、カサと揺れたりします。 花たちは、気を引こうと大変です。 虫や鳥や猫までも、そばに止まります。 気がつかないのか、さっさと無視して行ってしまうのは人だけです。 でも、たまに、あれって感じて、顔を寄せる人がいます。 花たちは、そんな人には興味津々です。 立ち止まって、しばらく話をしてみたら、どうでしょうか。 <第1075号 2021年3月21日(日)> あせび ちいさなベルの ひとつひとつには あなたのことばが やどっている ほほえみがちな べにさすベルは そっときづかう やさしいことば りんとおとする おすましベルは さわやかとおる かぜのことば はるのひかりの そのまんなかで いきてるベルは たしかなわたし * 挿一輪 * 春を告げる花のなかでも、あせびの花が好きです。 小さな鈴のかたちの花が連なって咲く様子は、愛らしく可憐です。 ひとつひとつの花に顔を近づけて、音を聞いてみたくなります。 見た目にはおなじでも、それぞれ別の音を奏でるような気がします。 あせびの花が咲くと、春はいよいよ本番ですね。 <第1074号 2021年3月14日(日)> みもざ はじけた はじけた だきついてきた こがねいろの ぽんぽんはなび さわってみたい たべてみたい ねころんでみたい ふわふわふわっと まだしきさいの とぼしいまちで みんなうつむいて あるくまちで おいでよ おいでよ いっしょにおどろう すがおのまんまに はるのおとずれ * 挿一輪 * なにもない褐色の大地に目立つのは、黄色です。 早春に咲く花の多くが黄色なのも、そのためでしょうか。 たんぽぽ、たびらこ、菜の花、まんさく、ロウバイ、水仙、ミモザ。 特に、ミモザは、その花のボリュームで華やかに春を演出します。 不安や悩みの多い、いわば褐色の時代。 少しでも鮮やかな黄色のひかりを、浴びてみるのはいかがでしょうか。 <第1073号 2021年3月7日(日)> つづいている なにをみているのだろう こんなにもずっと まぶしくないのだろうか なにがあるのだろうか つづけることわたしには これっぽっちもできない じっとたちどまるのも すわっていることさえも それなのにいったいどれだけ なんねんみつづけている なにかがみえるかも なにかがわかるかも そんなささいなことではない そうみつめるなにかじゃない じっとみることなんだ ただみつづけることなんだ つづけようとしてはいけない つづくのはけっかだから きがついてほしいだれだって つづいているものがひとつはある * 挿一輪 * ずっと、ずっと、続いているもの、なんですか? あなたが生まれてから、ずっと。 あなたが生まれる前から、ずっと。 続いているもの、それは、あなた自身のいのちなのかも。 |
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