2021年5月のこびん

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<第1085号 2021年5月30日(日)>

       たね


         あなたには
         たくさんのたねがある
         
         あなたという
         ひとつのはながさいて
         
         そのひとつのはなが
         たくさんのたねをつけ
         
         かぜにのせて
         たねをとばしてゆく
         
         いきていることは
         はながさいていること
         
         あなたはゆっくりと
         ゆっくりとたねをつくり
         
         かぜがふいたら
         かぜがふいたら
         
         あなたのたねを
         どこまでもとばせばいい


         

   * 挿一輪 *

 咲いた花は種になり、様々な方法で種を運びます。
 
 たんぽぽは、綿毛のついた種を風に乗せて、どこまでも。
 
 人もまた、いのちという花を咲かせ、歩みという種を蒔きます。
 
 その人が生きていることに、ただひとつも無駄はありません。
 
 さあ、この花は、どんな種を蒔けるのでしょうか、楽しみですね。


<第1084号 2021年5月23日(日)>

       ならんで


         ならんでみるといい
         みつめあわずに
         なにげないふりをして
         よこにならんで
         とおくのけしきを
         みているのがいい
         
         こえをかけると
         ひらかれたくうかんに
         ことばがはばたき
         ぐるっととびまわって
         やわらなかぜになって
         そっともどってくる
         
         ならんでみるといい
         すぐとなりにいるのに
         それぞれのせかいの
         おおきなまどをあけて
         ひらかれたふたりが
         まじわりあえたらいい


         

   * 挿一輪 *

 正面に向き合うのは大切なことですが、疲れてしまうことがあります。
 
 気持ちを伝えるのに、プレッシャーがかかって、つい黙ってしまう。
 
 そういう時は、並んで、おなじ景色を見ながら話すといいですね。
 
 話した声が、まるで一羽の鳥のように、飛んで帰ってくる。
 
 微妙な間(ま)が、やわらかな緩衝帯になってくれます。


<第1083号 2021年5月16日(日)>

       かがみ


         きいていてほしい
         はなすから
         
         へんじはいらない
         うなずかなくてもいい
         ただじっと
         きいていてほしい
         
         めをあわせられない
         したをむいて
         ぼそぼそと
         つぶやくかもしれない
         
         ここにいてほしい
         はなすから
         
         しばらくだまるかも
         おもいっきりにらむかも
         ふっとほほえむかも
         なみだがひとつおちるかも
         
         ずっとかんがえていた
         いっぱいたまっていた
         どうしたらいいのか
         きっかけがほしかった
         
         きいていてほしい
         かがみのなかの わたし


         

   * 挿一輪 *

 ことばは、こころのなかにあると、見えません。
 
 こころの外に出して、もう一度取り入れると、形になります。
 
 表現すること、文章を書くだけではありません。
 
 ふと、話をするとき、それは、表現の手段です。
 
 こころをことばをたしかめたいとき、なにかに向けて表現してください。
 
 紙に書きなぐっても、なにかに話しかけてもいいのです。
 
 こころのことばの、アウトプット。
 
 そしてことばをかみしめての、インプット。
 
 わたしが、わたしに、はなしかけ、わたしを、たしかめること、です。


<第1082号 2021年5月9日(日)>

       ミラー


         みぎのみちは
         みとおせる
         
         ひだりのみちも
         うつっている
         
         あしもとだって
         そらだって
         
         ぐるりとまわりが
         みわたせるけど
         
         たったひとつ
         うつらない
         
         あなたのこころが
         うつらない
         
         なかみをうつす
         クリアなミラー
         
         どこにおいたら
         みえるのだろう


         

   * 挿一輪 *

 見通しの悪い場所のカーブミラー。
 
 広い範囲がクリアに見えて、安全のためにも不可欠です。
 
 けれど、どんな優秀なミラーでも、見えないものがあります。
 
 見ているあなたのこころは、どこ。
 
 ほんとうは、見てみたいけれど、もし、写っていても、わかりますか。


<第1081号 2021年5月2日(日)>

       はいけい


         はるまだあさい
         だいちでは
         はじめにさくのは
         きいろいはな
         
         ちゃいろに
         いちばんはえるのは
         きいろのはな
         むしをよぶ
         
         みどりのあなたは
         みどりにとける
         あかいあなたは
         あかにのまれる
         
         めいさいしょくや
         ほごしょくは
         かくれるときは
         いいけれど
         
         あなたを
         まっすぐみせるには
         どんないろを
         えらぶのか


         

   * 挿一輪 *

 環境はその人の見え方を変えます。
 
 性格や人柄など変わらないのに、環境で異なって見えてしまいます。
 
 ひとつの色が、その背景によって、違う色に見えるトリックです。
 
 あなた自身は問題ありません。
 
 背景を変えてみてください。
 
 あなた自身の見え方が変わってきます。
 
 積極的に背景を選択し、あなたを演出するのもすてきです。






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