2021年6月のこびん

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<第1089号 2021年6月27日(日)>

       いつでも


         そらが
         くもでおおわれたから
         そらを
         とどけます
         
         たいようが
         くもにかくれたから
         たいようを
         とどけます
         
         わたしが
         くもでおおわれたなら
         わたしを
         とどけてくれますか
         
         どこかで
         もとめているのなら
         だれかが
         きっととどけます


         

   * 挿一輪 *

 曇り空が続くと、青と黄色が恋しくなります。
 
 空の青と、太陽の黄色を、どこかで探したくなります。
 
 こころの曇り空が続くと、自分の色が恋しくなります。
 
 自分の色、どこで探しましょうか。
 
 まわりを探してみてください、身近でかならず見つかります。
 
 さて、あなたの色、どんな色でしたか。


<第1088号 2021年6月20日(日)>

       はじける


         あさいちばんにきくこえは
         なんといってもきみのこえ
         あさひがのぼるまえからも
         たとえあめがふるひでも
         
         てすりのうえをはねるおと
         ガラスのてんまどあるくおと
         きゅうにはばたくはねのおと
         えだをぷるんとはじくおと
         
         ふわふわはねでふくらんで
         くるくるまわるくびとかお
         まるでめのうのひとみして
         タップしようのほそいあし
         
         くちのさきからあしのさき
         いちぶのすきもゆるさずに
         びっしりつまっているものは
         いまここはじけるいのちのみ


         

   * 挿一輪 *

 朝いちばんで、笑みをもらうもの。
 
 スズメたちのおしゃべりと、手すりの上のタップダンス。
 
 気づけばもらえる、たからもの。
 
 加えて、朝の光と、風の呼びかけがあれば、今日一日はハッピーです。


<第1087号 2021年6月13日(日)>

       ね


         ね そこはどこ
         きもちよさそうに
         ねむっている きみ
         
         だれがそばをあるこうと
         だれがこえをかけようと
         きみはいまここにいない
         
         けづくろいするきみも
         したをだしっぱなしのきみも
         しなやかにとびあがるきみも
         
         ね そこにはなにがある
         いくつものどあをあけ
         いくつもせかいをみて
         
         ここにかえってきたとき
         きもちのいいのびのあと
         にゃーとはなしをしておくれ


         

   * 挿一輪 *

 ねこの ね
 
 ねむりの ね
 
 ねえの ね
 
 ひらがなの ね をみていると、まあるい気持ちになれます。
 
 後半の猫背あたりから、最後のくるっとしたしっぽのあたりまで、特に。
 
 ひらがなは、どこにでもあるもの、とても親しみのあるもの。
 
 やわらかなひらがなたちを、さがしにいってみませんか。


<第1086号 2021年6月6日(日)>

       あじさい


         どこでみかけても
         はっとたちどまる
         
         おもいつめていても
         こえをかけてくれる
         
         とおくからでも
         まっすぐみつめている
         
         あさぎりのなかでも
         つきのないよるでも
         
         かがみにうつった
         こころのなかにも
         
         やさしいえみがのぞく
         ほしのことばがのぞく
         
         むきあってもいい
         ならんでもいい
         
         あじさいのはな
         みなづきのはは


         

   * 挿一輪 *

 あじさいは、わたしにとって特別な花です。
 
 亡くなった母が、大好きだった花だからです。
 
 花って、不思議ですね。
 
 その季節になると、忘れていても、ふっと訪れるように咲いてくる。
 
 ああ、この場所では、この花と会えたんだな、って。
 
 あなたも、この季節に再会する花がありますか。
 
 大好きな花の前で、ほんの少しだけ話をしてみませんか。






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