2022年3月のこびん

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<第1128号 2022年3月27日(日)>

       さえずる


         さえずる
         すずめ
         
         さえずる
         あせび
         
         さえずる
         ひざし
         
         さえずる
         まばたき
         
         さえずる
         ささやき
         
         さえずる
         あこがれ
         
         さえずる
         かぜのえみ
         
         さえずる
         くすりゆび
         
         さえずる
         あなたのめ


         

   * 挿一輪 *

 気がつくと、鳥のさえずりが、あちらこちらから。
 
 答えるように、つぼみが、花が、開いて、揺れて。
 
 こころの内を、みんなと一緒にさえずりましょう、春の空にむけて。


<第1127号 2022年3月20日(日)>

       そだてる


         ひとつひとつ
         かいだんをのぼるように
         ひとつひとつ
         わたしをのぼる
         
         つかれたらやすみ
         やすんだらまたのぼり
         ちいさなおどりばで
         またうえをみる
         
         わたしはだれ
         うまれたときから
         かわらずわたし
         ひとつをおぼえ
         
         ひとつをわすれ
         つぎのひとつをおぼえ
         わたしはそだってきた
         わたしであるために
         
         いそがずたゆまず
         たしかめながら
         そだてつづけてゆく
         わたしそのものになるために


         

   * 挿一輪 *

 生きていることは、育てることです。
 
 自分自身を、育てることです。
 
 産まれてから、両親や取り巻く人や物たちに育てられて。
 
 でも、いちばん長く自分を育てるのは、自分自身です。
 
 最後まで、育てきれたら、しあわせですね。


<第1126号 2022年3月13日(日)>

       くすぐる


         わたしかんじる
         すれちがいざま
         ミモザのふっ
         
         くすぐったい
         あまかわのさかい
         みみたぶのアール
         
         もういちどいって
         きこえないきこえない
         ゆめがさめたゆめのさき
         
         みつめているそら
         みつめかえすわたし
         しろめひっくりかえる
         
         おいでほっぺ
         さわさわぽんぽん
         はじけてはるのひなたいろ


         

   * 挿一輪 *

 見ているだけで、くすぐったくなります。
 
 ミモザの、こぼれんばかりのぽんぽん。
 
 春まだ浅い街に、強烈なアピール。
 
 ずっと遠くからも見通せる、黄色。
 
 蜜を求める虫たちのように、まっすぐに引き寄せられます。


<第1125号 2022年3月6日(日)>

       いのる


         どんなに
         りふじんであろうとも
         こうべをあげて
         きぜんと
         
         なにものにも
         かえられないもの
         たいせつなものを
         けっしてわたさない
         
         それはほうせき
         かたいげんせきを
         みがきみがき
         かがやきはなつもの
         
         しんじゅがいのように
         いのちのまんなかで
         ゆっくりゆっくり
         そだててきたもの
         
         てばなすな
         まもりきれ
         じゆうというひのために
         にしょくのいろのために


         

   * 挿一輪 *

 青空と小麦の大地のために、祈ることしかできないのかもしれません。
 
 けれど、祈ることも、支援することのひとつです。
 
 茶色い大地には、芽生える春があります。
 
 青い空には、見上げる笑顔がいちばん映えます。
 
 いのちのまんなかには、いつも燃えているものがあります、それは。
 
 決して消さない、自由という、火。
 
 全世界の、青色と黄色を総動員してでも守りたい、自由という、火を。






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