2022年7月のこびん

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<第1146号 2022年7月31日(日)>

       あける


         まえのひきだしを
         あける
         なれたてで
         あける
         むいしきのどうさで
         あける
         
         ひきだしは
         みぎにもひだりにもある
         いつあけたのだろう
         なにかがはいっている
         ふとそうおもっても
         
         また
         まえのひきだしを
         あける
         いつものわたしを
         ひきだす
         なれたわたしをみにつけ
         ひきだしをしめる
         みぎにもひだりにも
         てをつけず


         

   * 挿一輪 *

 引き出しには、たくさんのものが入っています。
 
 でも、いつも開ける引き出しは限られています。
 
 そういえば、自分のなかにも無数の引き出しがあるはずです。
 
 ずっと忘れている、開かずの引き出しがありませんか。
 
 引き出しを見つけ、開いてみると、いったいなにが・・・。


<第1145号 2022年7月24日(日)>

       あるく


         あるくはやさが
         いい
         
         すぐにたちどまれる
         すぐにたしかめられる
         
         じてんしゃもいいけれど
         ふっととおりすぎてしまう
         
         バスもでんしゃもいいけれど
         あっとおもってもとまれない
         
         あるくはやさが
         ちょうどいい
         
         じぶんのあしのはやさが
         ちょうどいい
         
         じぶんのあたまのはやさが
         ちょうどいい


         

   * 挿一輪 *

 歩くのが好きです。
 
 自分の歩く速さが、ここちよいのです。
 
 自分の気持ちの良い歩く速さ、知っていますか。
 
 あなたの身体に、聞いてみてください。
 
 忘れないためにも、歩くことをいやがらないでくださいね。


<第1144号 2022年7月17日(日)>

       かがやく


         にわさきに
         すっくと
         くびをのばす
         
         しめったみなみかぜ
         あめのよかん
         みあげるそら
         
         アフリカのだいち
         きいろのジラフ
         よぶこえはちがっても
         
         はしりだして
         たてがみを
         かぜにのせる
         
         かがやくなつ
         つれてきておくれ
         あのころのわたしを


         

   * 挿一輪 *

 グラジオラスが、好きです。
 
 子どものころは、ホウセンカと一緒にどこの家の庭にも見られました。
 
 背が高くて、花のつき方がたてがみに見えて、キリンの首を思わせます。
 
 グラジオラスとともに、夏は本格的に走りはじめます。


<第1143号 2022年7月10日(日)>

       ふるえる


         ふるえる
         わたしはふるえる
         かぜが
         とおりすぎるから
         
         ふるえる
         わたしはふるえる
         あなたが
         みつめているから
         
         ふるえる
         わたしはふるえる
         だれかが
         よびつづけるから
         
         ふるえる
         わたしはふるえる
         わたしを
         たしかめたいから


         

   * 挿一輪 *

 理由は、いくつもあるのかもしれません。
 
 でも、わたしにとっては、いつまでも不思議なことです。
 
 花びらが、ずっとふるえていることが。
 
 そのことに、気がついて目が離せなくなることが。
 
 お互いに、生きているのを、伝えあっていることが。


<第1142号 2022年7月3日(日)>

       いそしむ


         もっと
         もっと
         ささやかなものを
         みつけなければ
         
         もっと
         もっと
         かくれているものを
         みつけなければ
         
         もっと
         もっと
         わすれられたものを
         みつけなければ
         
         もっと
         もっと
         みがきぬけるものを
         みつけなければ
         
         あなたのために


         

   * 挿一輪 *

 たいせつな、だれかのために。
 
 そう、思えたのなら。
 
 どんなことでも、続けられます。
 
 ていねいに、こつこつと。
 
 生きている糧(かて)につながります。






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