2023年1月のこびん

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<第1172号 2023年1月29日(日)>

       お


         おぼえているよきみのこえ
         おぼえているよきみのかお
         あのひはとてもさむいひで
         ゆきがちらちらまっていた
         
         みんないそぐように
         だれもぼくにきづかない
         きみだけはたちどまり
         ぼくにふっとわらいかけ
         
         すりぬけるじてんしゃに
         もうすこしでひかれそう
         とびあがってにがわらい
         ちいさくてをあげまたねって
         
         きょうはおひさまでてるから
         ゆっくりはなしてゆけるかな


         

   * 挿一輪 *

 道端で、ねこを見かけると立ち止まります。
 
 寒い日が続くので、本物?のねこはめったに会えませんが。
 
 プラスチックだったり、陶器だったり、プレートだったり。
 
 あちこちに、ねこはいて、近づいても逃げずに迎えてくれます。
 
 目が合うと挨拶をして、他にだれもいないと声をかけます。
 
 そんな日は、何かいいことがありそうで、ほっこりします。


<第1171号 2023年1月22日(日)>

       え


         えんりょしないで
         ここにおいでよ
         そのままでいいから
         わらわなくていいから
         
         ここはひだまり
         かぜもよけられて
         みんなやってくる
         ただあたたまりにね
         
         すこしやすんでゆけば
         なにもはなさなくていい
         かおをわすれてもいい
         ぬくもりだけもちかえって
         
         いちまいのページをあげる
         きょうというひのびぼうろく


         

   * 挿一輪 *

 寒い冬でも、ふと立ち止まりそうな、陽だまり。
 
 そういえば、ひと以外でも集まってきます。
 
 少し距離をおきながらも、いつのまにか仲間たちに。
 
 こんな瞬間を忘れずに、どこかへメモしておきたいですね。


<第1170号 2023年1月15日(日)>

       う


         うつむいてあるくのと
         したをむいてあるくのでは
         まるっきりちがう
         
         うつむいているときは
         こころをみているとき
         したをむいてあるくのは
         あしをみているとき
         
         こころをからにして
         からだをみていると
         リズムがみえてくる
         
         あゆみといっしょに
         リズムをきざむと
         こころがふっと
         リズムをおもいだす


         

   * 挿一輪 *

 どうしたらいいかと、じっとうつむいて、思いつめるとき。
 
 あなたのいつものリズムが、止まっています。
 
 歩いてみませんか。
 
 歩いて、あなたの足をみてみませんか。
 
 足の刻む、あなたのリズム。
 
 止まっているこころを、乗せてみましょう。


<第1169号 2023年1月8日(日)>

       い


         いってらっしゃい
         はじめておあいするかた
         ふっとあしをとめて
         わたしにきづいたあなた
         
         またきてください
         めがあったときわらった
         そのめがかがやいて
         わたしまでえがおになった
         
         きたかぜはつめたい
         でもひだまりはあたたか
         しばらくあたたまって
         すこしだけはなしをした
         
         さあもうすぐでかけよう
         またさがしにでかけよう


         

   * 挿一輪 *

 歩いていると、視線を感じます。
 
 たとえ小さな置物であろうと、ふっと立ち止まり話したくなります。
 
 出会いは、一瞬の偶然から始まります。
 
 さあ、いってらっしゃい。


<第1168号 2023年1月1日(日)>

       あ


         あたらしいきみのあさ
         けんすいでひきあげる
         まっすぐにまっすぐに
         しろいいきをふくらませ
         てっぺんまでひたすらに
         
         おおきなゆめはひとつ
         めをみひらいてたしかめ
         であいのそのときには
         とおくまでかけつづける
         うつしみはただひとつだけ
         
         ごまみたいにちいさくても
         ざこみたいにはかなくても
         いききることのみおもい
         まことのみむねにだきしめ
         すみきったこのそらになれ


         

   * 挿一輪 *

 日本語の五十音の最初は あ。
 
 思わず叫んでしまうことばは、あ。
 
 いちばん大きくいちばん美しい文字は、あ。
 
 だんだん好きになってきました、あ。
 
 始まりは、あ。






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