2023年5月のこびん

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<第1189号 2023年5月28日(日)>

       に


         あめがふいにやんで
         さしこむひざし
         たちどまってふりむけば
         にじ
         
         みんなまだかさをさし
         うつむきながらあるく
         きがついていない
         そらをみてごらん
         
         あめだけではできない
         ひざしだけでもできない
         さりぎわのあめが
         ひざしとともにおくるもの
         
         だからうけとってほしい
         にじにであったあなたに


         

   * 挿一輪 *

 虹が現れるには、雨と太陽の光が必要です。
 
 でも、もうひとつ必要なものがあります。
 
 虹に出合う、あなたです。
 
 それは、哀しみと喜びが織りなす日常に似ています。
 
 虹は、条件が整わなければ、見ることが出来ません。
 
 その条件のひとつに、あなたのいまが必要なのです。


<第1188号 2023年5月21日(日)>

       な


         なんにもない
         そうおもったら
         なんにもない
         
         なにかある
         そうおもったら
         かならずある
         
         なんにもない
         そうおもったら
         とおりすぎる
         
         なにかある
         そうおもったら
         たちどまる
         
         あるとしんじれば
         さがせばであえる


         

   * 挿一輪 *

 あると信じれば、必ずそれを見つけようとします。
 
 そんなもの、と、疑えば、目の前のものでさえ見えないことも。
 
 見ている景色は同じなのに、なにかを探すひと、なにも見ないひと。
 
 なにかあるのは確かです、出合う、出合わないは、あなたの意志です。


<第1187号 2023年5月14日(日)>

       と


         とおりすぎて
         ふとたちどまる
         よぶこえがする
         ここにきて
         
         だれかをまっている
         だれかはわたし
         それともあなた
         ふりかえって
         
         とおりすぎて
         もどってくる
         ぐるっとまわって
         またもどってくる
         
         たしかめるであい
         あなたもわたしも


         

   * 挿一輪 *

 通り過ぎるのが普通です、特に用がないのなら。
 
 気になって立ち止まることがあります、たいてい通り過ぎてから。
 
 明確な「もの」がある時も、見廻してもしばらくはわからない時も。
 
 声をかけたのは、あなたでしょうか、それとも、わたしの中から。
 
 立ち止まり、振り返って、そこにあるもの。
 
 取りあえず、確かめることで、不思議な出会いが得られそうです。


<第1186号 2023年5月7日(日)>

       て


         てじなしにであった
         であってすぐに
         とくいのてじなで
         わたしをけした
         
         てじなしはわらった
         すがたがなくても
         はなしはできる
         てじなもできる
         
         てじなしはかえった
         たねもしかけもない
         わたしはここにいるのに
         かぜだけがのこった
         
         てじなしになりたい
         きえたじぶんをけすために


         

   * 挿一輪 *

 姿を消して、透明人間に。
 
 魔法が使えないので、せめて手品で消してみましょうか。
 
 無くなったわけではないので、種明かしで姿を現して。
 
 それにしても、不思議に憧れる透明人間。
 
 あなたは姿を消したら、何をやりたいですか。






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