*** 7月の詩 ***

戻る

      七夕


ほんとうの願いは一つのはずだ
あなたの短冊に書く願いは
たった一つのはずだ

言葉に表せなくてもいい
声にならない息を吹きかけても
動かない指でそっとなでてもいい

誰もがそんな一枚の短冊を
身に着けているはずだ
一年に一度七夕の夜に
そっと風の中にかけておいてもいいはずだ

七夕の夜が終わると
流される笹の葉と一緒に短冊も消えてゆく
でもほんとうの願いは
またそっと心の中に帰ってくる

ほんとうの願いはあなただけが知っている
生まれたときにそっと手渡されて
いつのまにかあなたと一つになって
短冊に書き込むことができる

いつか持って帰ることができる
手渡された誰かに返すことができる
ほんとうの願いを短冊にして
そっとあなたに見せるのは
その時のための予行演習なのかもしれない



Copyright© 2003 Shiawase no Kijun