七夕 ほんとうの願いは一つのはずだ あなたの短冊に書く願いは たった一つのはずだ 言葉に表せなくてもいい 声にならない息を吹きかけても 動かない指でそっとなでてもいい 誰もがそんな一枚の短冊を 身に着けているはずだ 一年に一度七夕の夜に そっと風の中にかけておいてもいいはずだ 七夕の夜が終わると 流される笹の葉と一緒に短冊も消えてゆく でもほんとうの願いは またそっと心の中に帰ってくる ほんとうの願いはあなただけが知っている 生まれたときにそっと手渡されて いつのまにかあなたと一つになって 短冊に書き込むことができる いつか持って帰ることができる 手渡された誰かに返すことができる ほんとうの願いを短冊にして そっとあなたに見せるのは その時のための予行演習なのかもしれない |
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