切り絵 夕暮れ時の 座った猫の背中 道に積み重なる キョウチクトウの落ち花 にいにいぜみの鳴き声 何匹も何匹もいっせいに かたつむりの干からびたカラ 耳にあてたら何が聞こえる 子どもじみてと振り返らなかった 手に取ることをしなかった 小さなヒズミがひとつひとつ重なって ぼくの落としたもの きみのなくしたもの 今では二人とも分かっている いつどこでかも 風の突然の止まり方を知っているように 切り刻み方を間違えて 二人だけが抜け落ちた切り絵 黒い枠のなかに 夕暮れの時間がゆっくりと閉じてゆく |
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