魚 魚が虹色に光るのは 光と水の境だからだ 油が虹色に光るのも ウインドサーフィンの帆が虹色に光るのも だれかが釣った魚が打ち捨てられて そのうろこが虹色に光るのも 小さな異界との境だからだ 考えてみればぼくたちは いつも生と死の境を歩いているのに どうして一向に光らないのだろう 何かにはっと気づいたときだけ かいまみる境の輝きを どうしてすぐに忘れてしまうのだろう ぼくたちも本当はいつも光っている ただ みんな忘れたふりをしているだけなんだ 底知れぬ淵の境を 目を閉じて光を追い出しているだけなんだ 魚が虹色に光るのは はるかむかしから 約束された境にそって ずっと泳ぎ続けているからだ |
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