*** 12月の詩 ***

戻る

 タンポポ


いつも空を見ている
細い短冊のような
たくさんのアンテナを張って

いつも風に聞いている
薄いリードのような
たくさんの舌を伸ばして

いつも誰かを待っている
長いストローのような
たくさんのケーブルを広げて

どうしてそんなに
たんぽぽは夢を見るように
たくさんの世界を生きているの

動けないことがハンディーではない
飛べないことがハンディーではない

求めることに
生きてゆくことに
これっぽっちも不自由はしない
これっぽっちもかなしむことはない

それは決して難しいことではないが
それは決して易しいことではないが

どんなところでも
タンポポは
黄色いまあるい顔をして
まっすぐで繊細な
いのちの言葉をぴんとのばしている


Copyright© 2003 Shiawase no Kijun