***  8月の詩  ***

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 カンナに


カンナになってごらん
真っ赤なカンナに

うだるような8月の午後に
ゆっくりと
見上げるように

真上には
空をおおいつくすほどの
入道雲

貼り付けられた色が
ひとつひとつ
ばりばりとはがされて

だれも歩いていない
影だけのはりついた路地裏

ただ
真っ赤なカンナだけが
そのままの色をもちつづけている

カンナになってごらん
汗臭い体をボロリと脱いで

もう何色になるか
恐れなくていいはずだ
眠れない夜をすごすこともないはずだ



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