***  6月の詩  ***

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 6月


6月の
におい
湿った草いきれの
におい
だれかを抱いてみたくなるような
におい

6月に包まれた
ひふ
両生類の呼吸をする
ひふ
ぬめりとして
ひんやりとしたひふ

雲のすき間から
そのひふをめがけて
落ちてくる
細い夏の光の針

いくすじにも光りながら
落ちてくる
ミストのにじのなか

6月の小さな角をつけた
アゲハの幼虫
自分で自分を抱くように
そのままぷっくりと
水泡のさなぎ

水のにおいを汗のようにまきちらして
6月はかけてゆく
ゆっくりと



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