6月 6月の におい 湿った草いきれの におい だれかを抱いてみたくなるような におい 6月に包まれた ひふ 両生類の呼吸をする ひふ ぬめりとして ひんやりとしたひふ 雲のすき間から そのひふをめがけて 落ちてくる 細い夏の光の針 いくすじにも光りながら 落ちてくる ミストのにじのなか 6月の小さな角をつけた アゲハの幼虫 自分で自分を抱くように そのままぷっくりと 水泡のさなぎ 水のにおいを汗のようにまきちらして 6月はかけてゆく ゆっくりと |
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