あじさい 角を曲がったら ひょいと出会った 大きなあじさいの花 ちょんとつつけば 雨が降り出しそうな 6月の空の下 のぞきこむように 立ち止まったのは 学校帰りの女の子 まるで空の色のように 泣き出しそうな顔をして そっと指であじさいに触れた ほらぽつりと 雨 それとも 涙 あじさいの花たちは そばでじっと見てみると 小さな花たちのあつまり となりの小さな花に ひしめきあった小さな花は 同じ顔などひとつもない とても大切な秘密を そっと教えてもらったようで 女の子はくすっと笑った 大粒の雨は空にまかせて あたたかなしずくは ゆっくりと 胸に染み込んで消えた |
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