***  7月の詩  ***

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 願いの音


七夕祭の竹飾り
豪華に作られた仕掛け
毎年恒例のイベント

鮮やかな色合いの吹流し
風が通り過ぎて
サラサラと乾いた音

どこかよそよそしい音
願いを受け止めて
そっとあたためてくれる
湿度がない

うつむきかけたわたしを
ふと呼び止めるもの
なつかしい息づかい
子どものころから
けっして忘れない音

ひとつひとつ
降り込まれた折り鶴が
集まった吹流し
風が吹くたびに
折りこまれた鶴の羽の波紋が広がる

七夕の夜に
だれもが
織姫と彦星になり
胸に秘めた切なる願いを
風に乗せ託す音

七夕の竹飾りが風に乗せるのは
願いの音
折り鶴のひとつひとつが
そっと抱きしめて
空高く届ける
願いの音に違いない







7月の詩 願いの音

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