***  12月の詩  ***

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 サザンカ


マリリンモンローに出会ったら
うっとり見とれるに違いない
それがたとえ師走の街の
冷たい風の吹き抜けでも

もちろん日本の片隅の
小さな路地にあるものは
かさかさ駆ける落ち葉の迷子と
遠くに響く自転車のきしむ音

まるっきりしあわせだとか
笑みのこぼれる満足だとか
思い出すのが恥ずかしいくらい
長い時間が過ぎ去って

ふと立ち止まって見たときの
サザンカの紅のあざやかさ
ふと立ち止まって見たときの
花芯の黄のあたたかさ

決して陽だまりにはならなくても
まっすぐりんと見つめている
咲いたら夜も眠らずに
まっすぐりんと見つめている

マリリンモンローに出会ったら
小さく手を振るに違いない
そして風のように通り過ぎ
明日への角を曲がるのさ







12月の詩 サザンカ

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