呼ぶ声 きっと呼ばれた だれかに呼ばれた 高い決して届くことのない 空のうえからかもしれない 深い決して降りてゆくことのない からだのなかからかもしれない 明日とか 夜明けとか トントンとノックされたからとか 合図があったわけではない けれど まごうことなく呼ばれた 眠るしかなかった土のなかで 硬くてビクともしなかった土のなかで 目に見えない栓が たしかに抜かれた おもいっきりのびをすると すっと からだがのびた すっと 自分がのびた うけつがれたいのちが うけつぐいのちになったその日 輝く緑の一本の刃は ずっと待っていた約束の風に 会釈をした まるで ささやかな感謝を伝えるかのように |
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