***  8月の詩  ***

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 サルスベリ(百日紅)


空へ昇りたい
夏の百日のあいだに

あの輝く光と話したい
蝉の鳴く百日のあいだに

真っ白な雲の船に触りたい
水しぶきの踊る百日のあいだに

南からの熱い風
次から次へと
夢のような楽園の話を吹き込む

突然の雨だってそうだ
ふるさとの
ミストの森を自慢する

ああ
空へ昇りたい
からだじゅうの赤を集めて
空への供物にしても

熱帯の鮮やかな羽をまとい
天の名をいだく
鳥の羽の一部にまぎれこんでも

砂漠に立ちのぼるかげろうの
目に見えない
巨大な上昇気流を
つかまえても

燃えるようなこの赤色に
この百日のあいだだけ
咲き続けるからこそ

ただひたすらに
大空へ昇りたい








8月の詩 サルスベリ

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