***  2月の詩  ***

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 家族


二月の空には
ささやかないろどりがにあう
ほころびかけた梅のつぼみ
やわらかな陽だまりのたんぽぽ

ふとなにかをみつけて
しゃがみこむあなたの
中間色のセーターの背中
冷たい風がゆらしている

耳をじっとすませてみれば
春のかすかな足音も聞けるのに
ずいぶんへそ曲がりなのか
いまここ冬のなごりをいとおしむ

春はきらいではないけれど
さがしにいっても逃げるだけ
春はどんなに遠くにいても
ここでじっと待つものさ

へいのすきまからこぼれるように
水仙の花たちが顔を寄せ合う
家族もこうして一緒にいれば
おたがいに咲く時期はわかるもの

いつかお話聞かせてくれたね
あの丘の向こうが光るから
みんなで行ってみようとでかけたら
丘一面のサクラの花だって

けれどもしも丘に登っていって
来た道を振り向いたならば
丘一面のサクラの花より
輝くなにかをみつけられる

そとを照らす光より
こころを照らす光のほうが
春のあたたかさによくにている
寄り添う水仙の家族のように








2月の詩 家族

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