***  10月の詩  ***

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 彼岸花


あまりの突然の訪問に
だれもが
驚いているけれど

これだけ長いまつげに
いきなりじっと見つめられると
しゃがみこんで
話してみたくなる

たしかに
こんなに明るい朝だから

記憶のむこうがわの
決して色あせない
笑顔たち

鉱石のようなひとすじの光
秋のささやきを聞いてきたね

残念ながら
この木立のあいだからは
君には見えないけれど

空は青一色のカンバスに
風の合図でやってきた
はるか山のむこうまでつづく
羊雲

いのちのつながりは
周到な準備と
巡りあわせの賜物

秋風のまんなかで
まつげのアンテナで
君は教えてくれる

ふれあう瞬間
出会いのなかで
だれもが
生きていることを








10月の詩 彼岸花

10月の詩 彼岸花

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