あなたが
ここにいてくれて
よかった
涙がひとつおちたときに
にっこりと微笑んだときに
自分で自分を抱きしめたいほど
寂しかったときに
あなたが
ここにいてくれて
よかった
うまれてから
いままで
だれかのためになったなんて
一度も思ってみなかったと
この場所にやってきて
光と反対の方向に伸ばした影が
この自分でいいのだろうかと
そっと消えてしまえば
だれかがほっとするのだろうと
うつむくまぶたの
たまった涙がゆっくりと乾いたあとに
ぽつりぽつりと
小石のように落としたことば
そんなことはない
あなたが
ここにいてくれるだけで
ふと立ち止まったときの
かたわらの陽だまりのように
ここにいてくれて
ほんとうに
よかった
