***  1月の詩  ***

戻る


 空と空


空を見上げると
雲がある
まっ白な大きなグローブの
雲がある

空を見上げながら
キャッチボールがはじまった
夢だけが吹く原っぱで
時間が溶けてはじまった

まっ白な大きなグローブから
まっすぐ速い球が来て
こんどはぼくが振りかぶり
鋭い風の球を返す

ふと気がついて見上げると
空にはいっぺんの雲もなく
まるで胡蝶の夢のように
青い鏡の空がある

あのグローブはどこにある
こころのなかにも空がある
いつも大きな白い雲
形を変えられる白い雲

もしかしたら大空は
こころの空に通じている
原っぱのすみの生垣の
秘密の抜け道そのままに

ちょっと辛くて落ちこんで
じっとうつむいているあいだでも
頭上はるか大空で
新たに作られる白い雲

やわらかな影に肩を触れられ
ほら真上を見上げてごらん
こんどは笑顔の白い雲
こころの空に送るから








1月の詩 空と空

1月の詩 空と空

Copyright© 2009 Shiawase no Kijun