***  11月の詩  ***

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 落葉樹


葉を落とす
葉を落とす
自らのいのちの糧のために
自らのからだを守るために
一日も休むことなく
育てて育てて
どんな日照りの日でも
どんな風の日でも
しっかりとつなぎとめた
葉を落とす
一枚残さず落としつくす

なぜに葉を落とす
未練もなく葉を落とす
迷うことはなかったか
執着することはなかったか
今年だけは
一枚だけは
残しておこうと
決して思わなかったか

冬の冷たさや厳しさを
身をもって知っているのに
その直前で潔く葉を落とす
すっぱりと葉を捨てる

知っているのだ樹は
余計なものを纏っていると
甘えるものを纏っていると
自分が大きくなれないことを
捨てることで
捨て去ることで
裸のいのちの形を削りだし
確かめてこそ大きくなれることを

だからこそ
葉を落とす
大地をふみしめて
きっぱりと自らの意思で
葉を落とす








11月の詩 落葉樹

11月の詩 落葉樹

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