***  12月の詩  ***

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 鳥空間


黒い地球を二つ
眼のくぼみにおさめ
瑠璃色のオルゴールを
鳥たちは巻き戻す

風が雲の陽だまりに
ころころと笑い
黄金色の翼を
薄いレリーフに縁取る

ぼくは空を飛べはしない
でもこうして見ているだけで
鳥たちとどこまでもならんで
天空の青い淵を旅してゆける

ぼくのオルゴールは
瑠璃色に輝きはしない
でもぼくの指は翼に変化して
銀色の爪をことばに変える

さあゆこう
どこまでもどこまでも
さあゆこう
いつまでもいつまでも

ジュラ紀だの白亜紀だの
歴史学者だけに呼ばれていた
気流という透明なコンパスの
けっして錆びつくことのない
やわらかな指針を抱いて

ほんとうはわかっている
これはぼく自身に
約束された時間なのだから
その一点に共に着陸するまで








12月の詩 鳥空間

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