***  5月の詩  ***

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 風が吹く


風が吹く
空の広さに驚く
こいのぼりのまるい目に

風が吹く
木漏れ日の線香花火を
追いかけるすずめたちに

風が吹く
笑顔よせあってゆれる
たんぽぽの家族たちに

風が吹く
座る人もいない
陽だまりのベンチに

風が吹く
湧き上がるこどもたちの声
次から次へと
ひるがえって色を伝える
広葉樹の葉の光

風が吹く
だれもがふと立ち止まって
その風のありかをたしかめようと
空をあおぎ
ほほをゆるめ

風が吹く
からだの奥深くから
しばらく忘れていた宝物に
はっとして出会うのなら

風が吹く
そうあのときも
五月の風が吹いていた

風が吹く
自分がいつまでも
風のままだと信じられていたころに








5月の詩 風が吹く

5月の詩 風が吹く

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