***  7月の詩  ***

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 風の欲しいもの


風の欲しいものを
あげる
できるかぎり
空高く放り投げて
あげる
秘密の宝物のメモを
両手にこっそりと包んで
あげる

風の欲しいものを
あげる
朝方のまどろみに
どきどきする夢を
あげる
三色パンのように
子猫が詰まった夢を
あげる

不思議ということは
ことばにできないから
不思議

銀色のラメが
朝と夕の太陽に
金色を羽織るから
不思議

もういいかい まあだだよ
もういいかい まあだだよ

ここに私がいるからこそ
風のベルが鳴りはじめる
ささやかな不思議

けれんみのないままの
このままのわたしを
風の欲しいままに
あげる








7月の詩 風の欲しいもの

7月の詩 風の欲しいもの

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