12月の虹 バケツ五杯も取れたからと おすそ分けに預かったゆず きっと昨日の朝の 大きな半円の二重の虹を からだいっぱいに 浴びて来たに違いない 12月の虹はめずらしいねと 嵐のような雨の後に 窓を開けて二人で見続けた虹 ゆずでなくても 大きな虹を見ただれもが 呼吸のすみずみまで 七色の光を吸い込んだに違いない 虹のふもとは頼りないと聞くけれど あんなにしっかりと 押し出すような光の束は もうこの夢の色で 一冬を越しなさいという 今年最後のメッセージ 虹を歩くことはできないが たどることはできる 虹を作り出すことはできないが いつまでも思い描くことはできる 人はこうして できないものをひとつひとつ こころのなかに刻みながら ゆずのように不恰好でも ささやかな夢の色を 育て続けてきたのだろう 12月の虹は 夕陽色の体を染み出して 冬至の湯船に 七色の架け橋をかけるに違いない |
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