***  9月の詩  ***

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 生きる


生きる
囲まれて生きる

しずかなもの
やさしいもの
ひっそりとするもの

いくつもの朝と
いくつもの夜の
なりわいのうたを
カナリア色の
胸元に入れて

みまもるもの
たたずむもの
うずくまるもの

いくつもの夜と
いくつもの朝の
眠りのはざまを
ウグイス色の
ポケットの入れて

生きる
囲まれて生きる

目をつぶっても
耳をふさいでも
沈黙を押し通しても
ぷつぷつと
赤く押し出される
いのちのあかしの薄い肌に
くりかえし
おしかえし
無垢の赤子のひとみのように
透明な言語の波紋で
つつまれ

生きる
囲まれ続けて生きる








9月の詩 生きる

9月の詩 生きる

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