***  3月の詩  ***

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 青を慕って


あなたの青を慕っています
空の青とはちょっとちがう
海の青ともちょっとちがう
内から光る青を
初恋の思い出のように慕っています

小さなお皿を焼きました
いびつな楕円のまんなかに
筆にいっぱい染みこんだ
青の絵の具でえいやっと
気合をこめて穿った線

けれども窯からでてきたものは
汚れてすすけた引っかき傷
涙をぽつりと落としても
冷たくはじく鬼の臼歯

わたしの青を慕っています
あこがれ遊びの携帯画面
パートカラーのにび色反射
こころの底では嘘ついて
あたかもこれが望みです

芽生えた春はリバーダンス
なくしたふりして青い球
大地に埋めて踏みつけて
どこまでどこまで追いかけて
ぐるりと風のレンズでおおう

空に泳ぐ鳥たちも
海に翔ける魚たちも
翼の先につなげてる
側線沿いに流してる
ただ一瞬の青のきらめき

いつでも青を慕っています
群青色とは幼なじみ
コバルトブルーはおもはゆい
おもわずこぼした青い血は
インジゴブルーのオッドアイ








3月の詩 青を慕って

3月の詩 青を慕って

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