***  12月の詩  ***

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 隠れ蓑


都会では海を埋め立て
海岸線はもうはるか先まで
たとえそこまでいったとしても
コンクリートの護岸だけ

都会を離れた海岸線は
海が大きく荒れるたびに
砂が流され流され続け
道路にまでひた寄ってくる波

人の営みとは
あまりに早くせっかちで
作るために壊し
壊してはまた作るの繰り返し

じっとそのままたたずんで
なにかを見守ることなどせずに
子どもを壊す親のように
いつまでちょっかいを出し続け

つまりは思い通りにしなければ
大きな子どものわがままの
お山の大将のひとりよがり

小さな幸せにめぐり合っても
満足するのは恥ずかしい
もっと大きいつづらはどこに
壊しては作り
また作っては壊し

じっとすることが罪悪で
動き回ることが優秀で
たしかに頭の切れることは
生きぬくための立派な方便

隠れ蓑の一つでも
陽だまり修行で身につけて
日向と日陰の危うい境
ほっこりゆったりしっかりと
自分を生きてゆきたいな








12月の詩 隠れ蓑

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