***  2月の詩  ***

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 窓をあける


窓をあける
冷たい北風をさしそそぐような
りんとした空をあける

窓をあける
まぶしい陽だまりをふわりかけるような
色の溶けた空をあける

窓がひらき
窓がひらき
こうしてわたしのからだを
脈打つとうめいなゼリーのなかを

朝というあたらしい風が
まなざしのようにつきぬける

窓をあける
この手であける
しずかにそっとけれどすばやく

窓をあける
この指であける
うつくしいものも
よごれたものも
水で流せばなくなると信じる指で

どうしてそのまま
すきとおったかごのなかで
じぶんの風だけで生きられないのだろう

どうして
あるだけの窓をひらき
手のとどくだけの窓をひらき
朝の風にたすけを求めるのだろう

窓をあける
涙がはやく乾くように
こころがりんかくを溶かすように
ほんとうは一大決心をして
わたしの窓をあける








2月の詩 窓をあける

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