***  5月の詩  ***

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 五月のヒカリは


五月のヒカリはタイムマシン
若葉の木漏れ日に
金属の手すりの信号に
水面の風のすり足に
秘密の入り口がかくれている

五月のヒカリはタイムマシン
わたしの姿が音もなく溶けて
ちいさなあの日があらわれる
包まれる草いきれ
見上げる空はどこまでも高く

もう戻ることはできないの
あなたはいつもそうやって
うつむきながら歩いているが

もう戻ろうとしないだけ
あなたのどこかで
そうしたくないと決めつけている

五月のヒカリはタイムマシン
信じるとか信じないとか
ささいな言い争いは別にして
まずはヒカリのまんなかで
立ち止まって目を閉じてごらん

五月のヒカリはタイムマシン
まぶたがオレンジ色に染まったら
ささやくようにひいてごらん
じゅもんはかがやくスロットル
ふっとめまいがおこるように

そっと目を開けてごらん
じっと耳を澄ませてごらん
なにも変わっていないようだけれど

ゆっくり顔をあげてごらん
よーいどんでかけだしてごらん
羽のように軽くなったあなた
ほら
五月のヒカリはタイムマシン








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