***  2月の詩  ***

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 鬼さんこちら


わたしのなかにも
鬼がいる
いつもはひとり
かくれてふたり
呼んでみるならまたひとり

鬼がいる子とは遊ばせぬ
ましてふたりもさんにんも
数いることも許されぬ

そんなに嫌われる鬼だけど
鬼は鬼なり楽しんで
出てゆく気配まるでなし

ひとりふたりさんにんと
鬼それぞれの楽しみを
わたしのからだを間借りして
居心地良さげに居候

鬼の眼(まなこ)は遠くまで
鬼の耳も遠くまで
道に落ちてる疑似餌(ぎじえ)さえ
瞬時に見つけ聞きつけて
わたしをさかんにそそのかす

鬼のなかには
だれがいる
だれかがこまめに育ててる

いつかは引き取り願いたく
あっちの水はああまいぞ
こっちの水はにいがいぞ

そのつもりが手をたたき
新たな鬼を呼び寄せる

鬼さんこちら手の鳴るほうに
鬼さんこちら手の鳴るほうに








2月の詩 鬼さんこちら

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