***  7月の詩  ***

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 じゅらい(JULY)


じゅらいにうもれて
あなたがいる
やわらかなはだをもった
あなたがいる

じゅらいにうもれて
わたしがいる
あなたをだきよせる
わたしがいる

梅雨のあけきらない
このおちつかない空も
髪の毛にからまる
湿度もおなじなのに

じゅらいを重ねるたび
あなたが消え
じゅらいを見送るたび
わたしが消え

そこには美化され
時間のしっくいを
たんねんに塗り重ねた
ひとつのかたまりが光る

笑いはガラス瓶に入れられ
慟哭は木箱に入れられ
感触は音は匂いは
黄昏色の標本箱に入れられ

考察を書くすべもない
未提出の課題たち
傷跡をたどっていくと
かならずたどりつく袋小路

じゅらいにいまもいる
あなたは御簾(みす)
じゅらいにいまもいる
わたしは風鈴









7月の詩 じゅらい(JULY)

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