***  8月の詩  ***

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 RESTART


真っ青なトラックには
白い線がたなびき
潮のにおいを乗せた
透明な翼が空に満ちる

どこまでも続く観客席には
さわさわと葉をゆする樹たち
あいだを流れる水たち
おしゃべりにいそがしい鳥たち

あなたは
お気に入りのトートから
お日さま色の紙袋を出し
できたてのベーグルをひとつ

あなたは
やわらかな光の椅子に腰かけ
ふりそそぐミストでのどを潤し
限りない時間をひとかじり

だれかがゆっくりと近づき
目をあわせ会釈をして
親しそうに腰かける
もう一休みするように

どこまでゆくんだろう
あなたがつぶやく
ゆきたいところまでさ
となりから笑顔が答える

いつまでいるんだろう
あなたがつぶやく
そんなことを思っちゃだめ
くちびるにそっと人差し指

心地よい音楽が流れ
また新たないのちが
スタートラインを離れる
ゆっくりとよどみなく









8月の詩 RESTART

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