***  1月の詩  ***

戻る


 たったひとつのこと


たったひとつのこと
からだの闇から
光がこぼれる

半開きの口から
うっすらとあいた眼から
光がしのびだす

枯れ果てたと思いこんでいた
塩辛い泉の底に
虹に縁取られた水平線がのびて

舞い降りたカラスの翼
すり抜けるネコの尾
どんなに闇が濃かろうが
溶けることのないいのちの接線

たったひとつのこと
からだの闇から
光がこぼれる

魔方陣は自分が創り出すもの
破天荒な遊びのわけは
うつろいという触媒の笑み
悲しみが愛しみに

和太鼓の遠雷の音
過去を指でタップする雫
いま歩き続ける心臓のタクト
リズムのまんなかに
まあるい空を抱えた静寂の井戸

たったひとつのこと
からだの闇から
光がこぼれる

半開きのいのちから
うっすらとあいた明日へ
光がこぼれて
ひとすじの道を示す











Copyright© 2018 yumegoro (shiawase no kijun)