異界 遠くにぼーっと霞む 闇と光の魍魎ではなく ふっと肌に触れる 見知らぬ風の吐息でもなく それはもっと身近なものに潜む まわりを探すから怖くなる 異なるものと線を引くから 近づくのを拒んでしまう そんなことはない もっと親しく懐かしいもの 外界との線引きは薄い皮膚 その場しのぎの肌色のカンヴァス もろくなって落ち剥がれ 日々新しいものになってゆく 無意識の日常のように 見た目では変わらない おなじように思えて 決して二度と会えることがないもの だからこそ だまし絵の中にその入り口はある 生きている私たちのいのちが 異界そのものなのだ 探さなくてもいい 畏れなくてもいい ただじっと浸り呼吸するだけで いつでもどこでもひとつになれる |
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※ P印は写真付(2006年3月以降は自作写真によるテーマ詩を書いています)
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