***  5月の詩  ***

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 無限停泊


波打ち際を離れて
どれくらいになるだろう

うねりに身をまかせてから
どれくらいになるだろう

遠くに見え隠れする島に
胸ときめかせ
心地よい風を受けて
まぶしさに目を細めて
思い浮かべた様々な明日

ある日ふと
どれくらい来たのか確かめたい
振り返って驚いた

波打ち際の白い波
たわむれている陽光
まだここまでしか来ていない

理由を考えなければ
重い錨を降ろし
1日だけ留まるつもりだった

気分転換に
釣り糸を垂らして
もう少しだけ留まるつもりだった

どれくらいになるだろう
うねりの上で
風のなかで
ゆっくりと色彩が消えてゆき

セピアの時間のなかに
狭い甲板とひとつになり
わたしはずっと
空と海との境界線になっている






5月の詩 無限停泊

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